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Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

ため息が出るほどの馬鹿馬鹿しさ

かつて日本の経済成長を支えたのは、まさにこの「馬鹿馬鹿しい」の繰り返しか、それともこれを当然のこととしてなんの疑いもなく受け入れることができた人達のおかげなのかもしれません。いや、そうではなくて、やはり技術だったのだと思いたいのですが・・・。

私がベースで働きだす前の直近の職歴というのが、That's 日系企業!としか表現できない会社での事務職でした。それこそ企業名を出すと半官半民の企業だからぬるま湯で楽でしょう?と思われがちなのですが、とんでもありません。

その企業はコスト削減のために関連会社をいくつか設立し、その関連会社に業務を安く委託し始めていました。すると当然親会社は不要な人員が出てくるわけですが、人員整理は行われませんでした。(断行できなかったのでしょうね・・・)
余剰人員はどこかしらに寄せ集められて、働くふりをしながらネットサーフして一日を終えるみたいな生活をしていたのだと思われます。そういう人達はそれでも一応親会社の社員ですから、通常業務を遂行している関連会社の社員達よりもずっといいお給料をもらっていました。関連会社で働いていた私にしてみれば、まじめに働くのがあほらしくなることもちょくちょくありましたよ。

 

http://www.flickr.com/photos/56412930@N00/583341746

photo by jamelah


私は関連会社の社員として、他の社員達と数人で親会社に出向するという形で勤務をしていました。その関連会社の上司も社長も、親会社からの天下りの人間です。バブル時代においしい思いをしたうえ、親会社を定年退職後はこうやって関連会社の幹部として、置物のように座っているだけでお金をもらえる人達。
私達関連会社が翌年も同じように業務を受託できるかどうかは、私達の業績次第でした。ただ業績といっても事務を請け負っているわけです。営業活動はしていませんから、収入はありません。

ではどう業績を評価するのかというと・・・・
親会社の社員達によるがさ入れです。同じフロアにいる親会社の社員達がある日何の予告もなしに、私達が使っているキャビネットの中の書類を一通り見て、業務が正しく行われているのかチェックするのです。

こういう場合はこの表記を用いて、こことここに処理印、そして日付印・・・という風に。もうキャビネットの中にある書類全部ほじくりかえして重箱の隅つつきみたいなことをするのです。(嬉々としてねw)
表記は意味が通じればOKなのではなく、必ず事例ごとに決まった表記を使っていなければいけませんし、印が一つでも欠けていれば減点です。そしてその印を押していなかった人はどうするのかというと、どうして押印し忘れたのかを書面で報告しなければなりません。小学生かよーーーーーーーー。

そんなの人間ですから誰だって押印漏れはありますし、関連会社のほぼ全員がこれにひっかかっていました。そして報告時、私はあえて「うっかりしていました」と一行だけ書いてリーダーに提出しました。
すると私の隣の席だったリーダーはこっそりとこういうのです。

「ねえ、阿部さん、気持ちはわかるよ。押印漏れの理由にうっかり以外なんて考えられないもんね。だけどそこをさ、もうちょっとこう・・・・なんかストーリーをつけて書いてくんない?さすがに一行であっさりと片付けられると反省の色が見えないからさ」

一行で済む上ストーリーなんてつけようもない内容にどうやって作り話をしろってんだと頭を悩ませました。そしてだんだん馬鹿馬鹿しくなってきて、どうせだから50行くらい言い訳書いて提出してやれ、というところに行き着くのです。親会社の頭の固い連中が読むんだから、やつらがうんざりするようなものを書こうというわけです。
書きながらあー馬鹿馬鹿しいなーと思いつつも、まあ福利厚生しっかりしてるし土日休みだしーと自分に言い聞かせて働きました。

そしてベースで接客業に就くようになってからは、相変わらず福利厚生はしっかりしていましたが、土日休みなどなかなかとれませんでしたし、インターナショナルな環境で働くこと特有のストレスもありました(関連記事:若い黒人女性客に対する苦手意識がふっきれたきっかけ - Inside the gate)。
だけどそのストレスは自分が受け入れられる類のものでした。オフベースのその日系企業で働いていた時のような、思わずため息が出てしまう(そしてそれを親会社の社員に聞かれる)馬鹿馬鹿しさからくるストレスは、受け入れがたいものでした。
私、ずっとこんな馬鹿馬鹿しいことやり続けるのかなっていう虚しさは、ベースにはなかった。だから楽園とは呼べなくても、土日休みがとれなくても、ホームだと感じたのでしょう。

insidethegate.hatenablog.com