日本に暮らす外国人男性が、日本人女性をナンパする時に国籍を詐称する場合、便利に使われる国籍があります。そしてその国籍は日本人が聞いても警戒しない国籍、モテそうな国籍ということになります。
photo by kevin dooley
例えばパキスタン人なら、顔が濃いという共通点のあるラテンアメリカの国の名前を適当に選びます。
私が遭遇したのは、厳密には国籍詐称ではなく、パキスタン人だけど、純粋なパキスタン人ではなく「アルゼンチン人とのクオーター」という無理のある嘘でした。アルゼンチンという南米の国が混じることにより、日本人女性の警戒心が薄れると思ったのでしょう。
そのパキスタン人男性をSとしましょう。Sさんは新宿にある英会話スクールで講師をしていました。そして私の友達をナンパしたのです。
「かっこいいし、飲むくらいなら一度だけつきあってみようかなぁ」と彼女は言いました。そしてS君はアントニオというこれまたメキシコ人とのクオーターというあやしい設定のパキスタニを連れてくるので、彼女にも誰か友達を連れてくるように、と言いました。
「まりあさん、一緒に来ない?」と白羽の矢が立った私は、その飲み会に参加しました。
自称アルゼンチン人とのクオーターのS君と、これまた自称メキシコ人とのクオーターのアントニオ(名前も多分偽名)とイタリアンレストランに行きました。
そこでは様々な国籍のウェイトスタッフが働いていましたが、私達のテーブルによく来てくれたのはJose(ホセ)というウェイターでした。
そして私はS君がホセ君をテーブルに呼びつける時に「ヘイジョーズ!!」と叫んだのを聞いて、アルゼンチン人とのクオーター説は嘘だと確信しました。
ジョーズ(笑)。もちろんホセ君は自分が呼ばれたとは気づいていません。
クオーターならスペイン語(アルゼンチンの公用語)が話せないとしてもなんら不思議はありませんが、ホセくらい読めるよね。だってJoseってスペイン語圏の国々で最も多いファーストネームの一つですよ。オリンピックやサッカーのワールドカップでも見ていればホセ、ホセ、ホセ、って聴こえてくるでしょう?
数分後、ホセ君がちょうど私達のテーブルを通りかかって、立ち止まってくれました。私達のテーブルの用件を聞き、立ち去ろうとした彼に私は「ありがとうございます、ホセさん」と言ってみました。
二次会はありませんでした。
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