Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

たかがass、されどass TPOに気をつけて話そう


「英語には日本語と違って敬語がないんでしょう?いいよね、気楽で」

確かに日本語のように丁寧語・謙譲語・尊敬語という明確な違いは存在しません。
試しにAmazon.com(アメリカのサイト)でLevels of formalityで検索してみると、トップに表示されるのはなんと日本語のテキストブックです。
そのくらいカジュアルな日本語と敬語の違いは、アメリカ人達から見てもその存在が明らかなわけです。
だけどアメリカ人もTPOによって使う単語や表現に気をつけていますよ。回りに小さいお子さんがいる時は特に気をつけます。



今日はass、buttという単語を例に、白い目で見られない話し方について書きたいと思います。白い目で見られたほうがまだいいか。一番怖いのは、リアクションは笑顔だけど、無言で心の中で切り捨てられることですね。

assもbuttもお尻を意味します。そしてそれぞれの後ろに-holeをつけたものも今日の記事で出てきます。assholeは日本人の皆さんには馴染み深いのではないでしょうか。

assholeは体の一部をあらわす名詞としてだけでなく「いやな奴」「最低の人間」という意味の名詞としても使われます

http://www.flickr.com/photos/25062009@N05/3404040287

photo by Downing Street

元総理の麻生太郎氏の名字は、英語圏の人達が発音すると、「あ」にアクセントがくるため、assholeにしか聞こえません。同じような理由から地球上の特定の地域には旅行しづらい、という方、結構いらっしゃるのではないでしょうか。「かつお」というお名前の男性が、イタリアに行くと恥ずかしいってのと同じで。

本題に入ります。

buttはassよりもマイルド

私はベースで働いていた時、接客業に就いていました。

ある日私がその日当番になっていた場所に、アメリカ人の上司が電話をかけてきて、その日の業務のことで色々聞かれたのですが、そこにちょうど常連さんがやってきて、私の会話を聞いていたのです。
電話を切ってお客さんに挨拶すると、こう聞かれました。

"Was that your boss?"「今の、君のボス?」
"Yes, it was. Why?" 「そうですよ。なぜそうきくのですか?」
"He kind of sounded like a butthole."「なんかやな感じだったね」


このお客様は常連さんでしたから、buttholeという単語を私との会話で使ってもおかしくありませんでした。初対面のお客さんだったら多分buttholeではなくidiotあたりを使っていたはずです。そもそも初対面のお客さんとそんな話をするわけもないのですけどね。
だけどこの常連のお客さんと私は、assholeという単語を使える間柄ではありませんでした(assholeそのものではなく、単語としてですよ!)。なぜなら私は就業中であって、あちらから見たらserving customers=接客中 なの。多少気心が知れているとはいえ、公私で言ったら公の関係ですから、assholeを使ったら不適切です。
同じ接客業でも私がバーテンダーならまた話は違ったはずです。

http://www.flickr.com/photos/8182915@N06/3688332043

photo by Rob Sheridan

TPOを考えれば、バーテンダーが変にかしこまって話し続けたら、お客様はせっかくバーに来ているのに気持ちよく酔うことができませんからね。とまあassとbuttでは示すからだの部位は同じだけれど、このようにカジュアルさのレベルにおいて若干差があります。特にassは小さいお子さんの周りでは、大人達は避けますね。


状況は変わって、ミーティングの時に実際にあったお話をしましょう。
上司が部下達にこういいました。

"If customers start using profanity, call the manager. If customers are just being a pain in the butt, try to handle the situation by yourself first, and call the manger if you still need help after trying."

「客が(f**k, sh*t, as*hole, bit*hなどの)不適切な言葉を使い始めたら、マネジャーを呼ぶこと。客が面倒な客(横柄だったり失礼だったり)というだけなら、まずは自分で対応してみること、それでもヘルプが必要ならマネジャーを呼ぶこと」


マネジャーも忙しいんだから、お客とトラブったからといって「○○まで来て下さい」とすぐに彼らに頼ろうとしないこと、というお話だったのですが、上司はpain in the assではなくpain in the buttと言いました。
assという言葉は部下達の前では使うには、当然不適切です。彼が可愛がっていたマネジャーと二人だけで男同士の会話を交わす時に"She has a killer ass."とこっそり女性従業員のお尻を褒めたりするのはありですよ。

 

http://www.flickr.com/photos/22659528@N06/7444363106

photo by Ana Kley (J Lo ねえさーん、nice ass!!!)


そしてこの状況でもう一つ言えることは、当時の上司と部下の関係がa pain in the buttという表現を使える関係だったということ。
assほど不適切ではないけれど、buttというカジュアルな単語を使っても「えっ?」とならない、くだけた部分も既にあったということです。
チームとしてはかなり成熟していたため、従業員一人一人をよく知っていた上司は、この表現が使えたのです。もしも異動してきたばかりの上司ならおそらくこういっていたはずです。

If customers are just being difficult, try to....

assを使うかbuttを使うか・・・自分はassを使える関係だと思っていても、相手もそう感じているとは限らない。あまり肩肘張らず、日頃の会話でアイドリングしながら様子を見ればよいと思います。

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