Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

実際に会話をすることでしか鍛えられないもの



膨大な量の英語をインプットすることは英語学習において重要ですが、やはりそれをアウトプットする機会がないと磨けない・養えないものがあります。

言葉の選択にかける時間の短縮

反射神経みたいなものですね。意味わかんね、と思った方も、もうちょっとおつきあいください。

あなたが母国語で会話する時、言葉の選択かかる時間なんて1,2秒くらいですよね。
選択の基準は・・・・

  • どう伝えたら傷つけずに済むか。ネガティブな要素を極力やんわりと伝えたい。
  • もうその話50回くらい聞いた・・・。「その話、知ってる」っていうのを分かって欲しい。どういう風に伝えたら二度とその話をしなくなるかなあ(笑)
  • 褒めたいんだけど、その人が聞いてより嬉しくなるような褒め方をしたい。どうやって褒めようか
  • もう我慢も限界。私が本当に迷惑していることを知ってもらおう。どうやったら怒りの本気度が伝わるか
  • 自慢話が多いなぁ。聞いた感じはマイルドだけど、後からじわりと辛さが効いて来る嫌味の一つでもいってやろうかしら

私達は日頃こういうことを考えて、言葉を選んでいます。

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photo by Darwin Bell

実際に口から言葉が出て行くまでにかかる時間は、母国語なら先ほど言ったようにほんの1,2秒です。だけど外国語だと「最適な言葉」を紡ぎだすのに、話のテーマによっては倍以上=2~4秒かかります。
どの言葉にしようか・・・と迷う選択肢は、日本語の方が数千倍多いわけじゃないですか。なのに言葉の選択には、母国語に比べて選択肢のストックの少ない外国語の方が時間がかかるという事実。

これはもう実際に会話をすることでしか鍛えられません。


長文のため、ここで一旦トイレ休憩を挟みます。

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聞くだけでエネルギーを大量に消費・・・というか吸い取られる重い話。今思えば、もとはとれた

私が今までに一番「おっ、鍛えられてる!」「効いてる!」と思ったのは、ネイティブスピーカーのカウンセリングをした時でした。

 カウンセリングをしたのは「何でも極端なアメリカ。双極性障害はもはや双極ではなく四極? - Inside the gate」という記事に登場したDさんというアメリカ人女性です。

Dさんは双極性障害とただの我侭の境界線の上に横たわっているような人でした。そしてそこに横たわりながら「この人なら話を聞いてくれそう」と狙いを定められてしまったのがこの私だったというわけです・・・。

ただし無給のセラピストに選ばれてしまった私も「いい人認定」されてしまう=厄介な寄生虫にとっての棲み心地のよい宿主になってしまう、という面倒くささは過去に経験していますから(関連記事:「わけありと言われる人の「わけ」は把握しておいた方がいい - Inside the gate」)、カウンセリングといいつつも、時々Dさんをつきはなすような話し方をしました。

精神科医にかかるということは、アメリカ人にとっても不本意

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photo by deltaMike


上の画像のように、精神科医のオフィスに行く=専門家のお世話になるということに関して、アメリカ人は日本人ほど抵抗がないというイメージがあります。
さすがにおおっぴらに「僕はshrinkのところに週一で通っているんだ」と自分から言い出す人はあまりいないでしょうけどね。
それでもやはり他人に「専門家のお世話になったら?」と言われることは、屈辱的なのです。

私はDさんの話にうんざりし始めた頃、彼女をつきはなすためにこう言いました。

"Have you ever considered having  professional help? It's getting out of my league."
「専門家の助けを借りようって考えてみたことはある?もう(そのことに関して)私はお役に立てないわ」

Dさんの顔色はみるみる青くなりました。

彼女は自分の家族に精神安定を目的とした薬を飲み続けている人がいます。彼女はその家族が「私の 幸せな生活を壊そうとしている」と語ることが、趣味になってしまっていました。
どこからどこまでが事実で、どこからが妄想なのか、聞き役の私だけでなく、 おそらく彼女本人もわからなくなっていたのです。


「そろそろ精神科のドアをたたいてみたら?」を意味する私のひとことは、精神安定剤を飲み続けている家族とDさんは同じようなものであると言ったようなものでしたから、Dさんはしばらく黙り込んでしまいました。
私は言い過ぎたかな、とは思いませんでした。ここで「専門家」というキーワードを出さなかったら、私は無給のセラピストのまま話を聞かされ続け、しまいにはうんざりが爆発して

"You attract drama or you are just obssessed with talking about them. "
「あなたは自分から面倒なことを引き寄せているか、彼ら(問題のある家族)のことを話すことにとりつかれているんじゃない」

と言って泣かしていたでしょう。
そして彼女から"Are you saying I'm a drama queen?" 「私がいちいち悲劇のヒロインぶりたいだけだって言っているの?」という言葉を引き出していたと思います。

そう、それが答えよ!
無給、無資格のセラピストのわりにはいい仕事をしたことになりますが、たとえその言葉を引き出したところで、彼女が自分がdrama queenであることを認めるかどうかはわかりませんでした。

この頃の私は、Dさんが隣に来るとびくびくしていました。

「いつまたあの家族の話をし始めるのだろう・・・もう聞きたくないな」

Dさんはそんな私の気持ちに気づくことはなく、「もうあいつをフェイスブックでブロックしようと思う」「いっそのこと私のフェイスブックのアカウントを削除して新しく作り直そうと思う」と一方的にその家族の悪口を言ってきました。

私が無言で聞き流していると、こう聞いてくるのです。

"Am I talking too much?"
「私、喋りすぎかしら?」

こう聞いてくる時のDさんの表情は今でもよく覚えています。
甘えさせてくれる人間なのかそうでないのかの違いを、私の顔を覗き込みながら探しているようでした。そして「こいつは精神安定剤代わりに使える」と判断したら、そのまま愚痴を垂れ流す。
そして私はある時を境に、この質問には決まってこう答えるようになりました。

"Do you want me to be honest or supportive?"

「正直に答えて欲しい?それとも配慮ある答えがほしい?」

上記は結構きつい言い方ですが、明るい表情で冗談っぽく言えば大丈夫です。これでしばらくは黙っていました。しばらく・・・ね。
このようにボランティアのセラピストとして頭をフル回転させて言葉を選ぶことで、相当鍛えられたと思います。

関連記事:中級者以上に必要なのは英語教材ではなく、質問に答えてくれるネイティブスピーカー - Inside the gate

 

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