2015年7月31日で横須賀基地では円⇔ドルの両替およびチェックによるキャッシングの取扱が終了します。
尚、在日米軍基地では横須賀基地が最後だそうで、他の基地ではとっくにこれらのサービスの取扱は終了していたとのこと(沖縄に関しては不明)。
ベースで働いていた時、この「チェック」で出金させてくれという取引を何度か経験しましたが、私の経験上その中には暮らし向きのよさそうな人は一人もいませんでした。
チェックはクレジットカードと違って猶予がある
「ねえ、いまだにチェック書いてくる人っているの?」
アメリカ人の同僚・カレンがある日窓口にやってきて、私にこう聞いてきました。
「時々いるけど・・・私も不思議に思っていたの。なんですぐそこにATMがあるのにそこから引き出さないんだろうって」
「残高がない人なんじゃない。かといってクレジットカードも使えない人」
ああ、なるほど。
現金がない。クレジットカードを使おう!だけど・・・・
→カードは止められてしまっている
→チェックなら金融機関に届くまでに2,3日猶予がある
→お給料日は明日だから、ぎりぎりセーフだな。
というわけです。クレジットカードだとDECLINEという表示が出て一発でアウトですが、チェックならばとりあえずその日は出金できますものね。
Suspension listに乗る人々
ベースで小切手を取り扱う窓口にはSuspension listというものが存在しました。私は船が全て出港してしまって業務が暇で仕方がないと、このリストをひたすら書き写すことで睡魔に打ち克つことができました。
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どういう人がリストに乗るかというと、銀行口座の残高も足りない上、入金予定もないくせに小切手を使う人です。
要するに、窓口で小切手を受け付けて、そこに書かれていた金額を私が出金しても、後日銀行に小切手が届いた時点で残高が不足しているため、トラブルになるわけです。
そこでこのような悪質な常習犯はリストに載り、うっかり私がチェックを受け取って出金してしまったとしても、ベースの会計部で止められて銀行まで届きません。そして後日、会計部から悲しいお知らせが届くのです。
「アベさん、あなたはリストに名前が載っている人からチェックに出金してしまいましたね・・・・」
→自腹で補填・・・・(号泣)というわけ。だからSuspension listは丸暗記できるくらいまで覚えました。
リストに載る人達には、共通している特徴がいくつかありました。
- ギャンブラー
- やけにフレンドリー
- チェックを受けかねると伝えると逆ギレする(キレれば出金できると思っている)
人種については詳細を控えますが、不思議なことに、この人達が窓口に向かって歩いてくるのを見ていると、「あ、多分この人・・・・」とぴーんと来るものがあるのです。そしてその勘は当たります。
逆ギレした悪質な客への対応
リストに名前が載っているんだから、キレられようが泣かれようが出金できません。会計部の番号を教えてそちらに問い合わせしてくださいというしかない。だけどどんなにバカでも、自ら会計部に電話をしてわざわざもう一度赤っ恥をかこうとは思いません。だけどどうしても気が済まないわけです。だからすごすごと引き下がりません。切羽詰っている人達というのは、とんでもない行動に出ます。ある常習犯に、私はこう怒鳴られました。
「俺の妻に仕事を紹介してくれと以前頼んだはずなのに、なぜ紹介してくれないんだ!」
はぁ・・・?あの、あなたはここがどこかわかっていますか?あなたの奥さんのステイタスはNAF(アメリカ政府雇用)でしょう?私にキレるなんてお門違いよ!
っていうかあんたはどうやって食べてるの?あなたを雇用してくれているところがあるっていうのが驚きです。民間企業ではまず雇ってもらえないでしょうね・・・という風に、米軍ってこんな人間も養っているのか、と改めて感心してしまいます。
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