Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

ボキャビル目的で洋書を読むのはもうやめます&おすすめの洋書



知人に本を借りた際に読書の話になりました。

私: ●●さんは冒頭部分で引き込まれずその後もそれほど面白くなくても、後から面白くなるかもしれないから、と思って期待をしながら読み続けるほうですか?

知人: いや、すぐやめる。だってそんな気持ちで読んでたらもうエンターテイメントじゃなくなっちゃうじゃないですか。

ああ、そうだよな。 読書ってそもそも楽しいものなんだよな・・・。
私は今までどれだけの時間を無駄に過ごしてきたのだろう。そう思って私は読書をする際に「途中から面白くなるかも」「最後にすごいオチがあるのかも」と淡い期待を抱きながら読むことと、これを機会にボキャビル目当てで洋書を読むことをやめることにしました。勉強のことは忘れて純粋に読書だけを楽しもうと思います。

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上の画像は皆さんご存知のヘミングウェイの「老人と海」です。ルビ付を買った理由は、この作品の素晴らしさを味わい直してみたいと思ったからです。

留学時代のリーディングクラスの教材として出会った「老人と海」

初めて読んだのは留学時代。リーディングのクラスでこの作品を皆で読んだのですが、同じクラスで前期に読んだノンフィクション が強烈だったため、私にとっておじいさんがのんびりと釣りをしている情景は物足りなく感じたのです。
ですから読書を楽しむというよりは、ディスカッションの際に質問にあてられたら答えられるように、キーワードだけおさえてストーリーは読み流す・・・という感じ。海洋生物や釣具の名詞の多さに辞書を引くため、ページをめくる手が止まることも多かったのです。
もちろんこれは授業で使う教材ですから、読書を純粋に楽しむために選ばれたのではないとわかっていましたが、それでも読むことが苦痛とまではいかなくても、例のノンフィクションを読んでいた時のようにのめりこむことは最後までありませんでした。

授業についていくためではなく、作品の素晴らしさを楽しむために読み直した

だからこそ久々にこの作品を手にとって楽しむには、赤い線で強調したように「短時間でスラスラ読める」ことが大事だなと思ったのです。その単語がわからないとこの先を読んでも楽しさが半減してしまうとか(情景が目に浮かばないとかそういう理由で)、文脈から想像できないレベルの単語の数を減らして文学そのものを楽しみたかったのです。
で、こんな風にルビがところどころ振ってあるのですが・・・・

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やはり海洋生物、釣具のところにルビがふってあるとありがたかったです。どんどん読み進めることができる。そんな苦労をしてまで読まなくても、最初から和訳を読めばいいのにと言われそうですが、やはりオリジナルの言語の魅力にはかなわないと思うんですよ。

老人と海 [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス


ボキャビルをすっかり忘れてのめりこんだ一冊

1.Damage by Josephine Hart

ジュリエット・ビノシュとジェレミー・アイアンズ主演の映画版が面白かったので原作を買ってみたのですが、買って正解でした。
成熟した女性が書いた、成熟した人のための大人の香りが濃厚な小説です。映画を見ていたので結末はもちろん知っているわけですが、それでもその結末に向かって静かに転がり落ちてゆく大人の情事から目が離せないのは、著者の洗練された文体がかもし出す冷たさのせいでしょう。

2.Something Borrowed by Emily Giffin

なぜ手を出したのか覚えていないのですが、これは最強のchick lit(若い女性向けの本)だと思います。日本の小説だとどれに当たるのかなぁ。chick litですから言葉の美しさとかそういうのは期待してはいけませんが、とにかくストーリー展開にひきつけられてあっという間に読んでしまいました。海外旅行に行く際、フライト中の時間つぶしとして読むのに適しています。
映画 も面白かったけど、原作を読んでいないと面白さ半減でしょう。特にケイト・ハドソンが演じるDarcyの美しさとカリスマ性で人生を思い通りに生きてきたという根拠に基づく、自分に対して超肯定的なキャラは、原作を読んでから映画を見たほうが絶対に楽しめると思います。

Something Borrowed/幸せのジンクス(字幕版)

Something Borrowed/幸せのジンクス(字幕版)

  • ルーク・グリーンフィールド
  • ロマンス
  • ¥1000

3.A Time To Kill by John Grisham

こんな風にストーリーを書いていたらもう一回読みたくなってきました(笑)。 アメリカ南部はミシシッピ州の、黒人に対する差別が根強く残る架空の街で起きた事件のお話。 10歳の黒人の女の子が酔っ払った二人の白人青年にむごたらしい性的暴行を受け、その父親は確か法で裁けないのなら自分が、といった経緯で(そこらへんよく覚えていません)その青年達を射殺してしまうのです。
そしてこの父親の弁護士は、白人が陪審員の過半数を占めるという圧倒的に不利な状況で、彼らの心情に訴えて裁判を勝ち取るために、法廷での弁論の最後の最後にある一言を放つのです。 その一言を読んだ時、この著者すごいな・・・とショックを受けました。
このひとことに辿り着くまで、一瞬たりとも私を飽きさせることなく、そしてこのオチかよ!みたいなショック。表紙を見るとJohn Grishamと書いてあり、当時グーグルがあったらすぐにその名前を検索していたことでしょう。そして気になったことは何でもすぐに検索できてしまうこの時代に早速調べてみたところ、この本の出版を持ちかけられて断った出版社が28社もあったと知り(wikiで読んだ)驚いています。

A Time to Kill(Kindle版)★人気★ 


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