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Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

ジェームス・ボンドみたいな上司と結婚した日本人女性の話

印象に残った日本人



今日の記事に登場する魅力的な女性・さやかさん(仮名)の話に入る前に、横須賀基地で彼女のようなみたいな素敵な女性に出会う確率の低さについてざっと触れます。

Diamonds


ベースの中であろうが外であろうが、おかしな人達はたくさんいますが、ベース特有の変な女達が存在します。そして際立ってやばい人は、センサーがすぐに探知するため、避けて通ることは簡単です。例えば・・・

  1. 意地でも日本語を話したくない人
  2. 「ほんっと日本っていやー」と言いながらしっかり国の恩恵を享受する人
  3. 日本人同士でも英語で話す人
  4. 相手のランクで態度を変える人(このタイプは見た目だけではセンサーが判別できない時がある)

そこから消去法で残った人がまともな人というわけですが、その中の1%以下が、夜通し語り合いたくなるくらい魅力的な女性でしょう。その1%の頂点にいたのがさやかさんだと思います。

www.instagram.com

上のイラストには「彼女はいつも黒を着ているけど、最もカラフルな心を持つ」
と書かれています。さやかさんもそんな感じの人でした。黒いワードローブが多いわけではないのですが、黒を派手に見せる女性。
彼女と知り合ったのは、私がベースで働いていた時でした。私の勤務先に、お客様としてやってきたのが、他のコマンドで働いていたさやかさんです。彼女を初めて接客したその日からなぜかすぐに彼女とは意気投合し、フェイスブックでも友達になるほどでした。私はお客様とはFBでつながらないようにしていたため、さやかさんは例外でした。そうしたくなるような何かがあったのでしょう。
それ以来さやかさんは出勤確認をしてから来店するようになり、二人でお茶をするようにもなりました。

ミステリアスな女性 

さやかさんは艶やかな女性でした。ベースの外の日系企業で働くつまらない女子トークで場をもたせることに長けている綺麗なOLさん風でもないし、ベースの中のかぶれている女性従業員とも違うし、不思議な存在なのです。ミステリアスなんですよ。
だから「こんなレアキャラのパートナーはどんな男性なんだろう」「どうやって英語を勉強しているんだろう」と、周囲が彼女のことを知りたくなるような女性でした。そこで仲良くなってしばらくたったある日、思い切って「おつきあいしている人はいないのですか?」と聞いてみたのです。するとさやかさんはこう答えました。
「います。でも誰にも言ってないんです。っていうか、言えません。だからマリアさんに話してもいいですか?」

ボーイフレンドは上司

他の人に話せない理由は、さやかさんが上司と男女の関係にあったから。
職場恋愛というのは、バレていないと思っているのは本人達だけで、実は周囲はとっくに勘づいていることが多いものですが、さやかさん達はまっったく気がつかれていませんでした。
職場恋愛をしている場合、特に女性が公私を混同し、を出しがちです。仕事に来るような服装やメイクではなく、一人の男性の視線だけを意識して力が入ってしまったり、彼氏と他の女性職員がちょっと仲良さそうにしただけで、嫉妬して目を離せなくなってしまったり・・・そこらへんからバレたりするんですよ。だけどさやかさんはその正反対で、まるで潜水艦のような人だったのです。水面下で計画的に動く。

Dive Adventures


さやかさんが上司と結婚することと、それによって退職しなければならない(夫婦が上司と部下という関係にある場合、同じコマンドでは働き続けることができないため)ことが、上司本人の口から職員達に発表された時、全員が一瞬静まり返り、中にはドッキリか何かだと思った人もいたそうです(笑)。

「え・・・・・・・?」

「まじで!?」

さやかさんは完全にノーマークだったというわけです。彼女は職場で女を出さなかったし、上司も彼女をまったく依怙贔屓しなかったうえ、二人はケミストリーを消しきっていました。
こんな風にダークホースだったさやかさんですが、ダークにもほどがあるだろうというくらいダークさの度合いが、皆の驚き方からもわかりました。
ダークだからといってさやかさんが地味で女としての魅力がないのかといったら、正反対です。妖しい光を内側に抱え込み、ひっそりと生きている人。だけど光が漏れてしまうから、人を惹きつける。見えない人には、まったく見えない光。彼女は妖しさを隠すために、透明感で見事にコーティングされたような人でした。皆彼女の透明感に騙されていたのではないでしょうか。

"独り身だよ"と投げかけられても、やんわり受け止めていただけの頃

新しい上司として彼(ポール、としましょう)が着任した時、素敵な男性だなと思ったさやかさん。ダンディでセクシーで、まるでジェームス・ボンドのようなポールが着任してちょっと経つと、彼が"I live by myself."というヒントをさやかさんとの会話の節々に滑り込ませるようになっていました。
「今日は夕食用に〇〇を買って帰るんだ。家に帰って用意するの、面倒くさいだろう?」
=食事の用意をして待ってくれているような人は、僕にはいない。
だけどさやかさんは、こういうヒントにちょっと反応を見せつつも、すぐに食いつきませんでした。食いつく代りに彼女がやったことはacknowledgementのみ。
「へぇ、一人暮らしなの」と興味深そうに、2,3秒見つめる。ボールを投げられても、受け止めるだけ。そこから彼女がどう投げ返してくるかは、ポールにもわからなかったのです。なぜすぐに投げ返さなかったのか?
横須賀基地とその周辺では一人暮らし=独身とは限らない、ということをさやかさんはよくわかっていました。

>>米軍関係者達の単身赴任事情 - Inside the gate


しかもポールは40代でした。なのに見事な肢体を維持していたのです。40代の白人男性であの体は確かにあまり見かけませんから、何もないわけない=それなりにsexually active=おさかんであったことは、さやかさんだって想像できたわけです(ちなみにさやかさんは、結婚して数年経つ今でも、待ち合わせの場所でポールを見つけるとどきどきするのだそうです)。ですからポールが一人暮らしと知っても、すぐには攻めに出ず、様子を見ることにしました。

ポールを安心させた「軽さ」

軽さといってもお尻の軽さではありませんよ。
これだけいい男であれば、女が寄ってこないわけはありません。二人が出会った当時、ポールに「時々デートするけどシリアスではない相手」がいるのは、すぐにさやかさんにもわかりました。
「この間〇〇に行ってきたんだ」
そういって休日を楽しんだ時の写真を見せてくれる時も、絶対に自分だけが映っている写真しか見せてくれないのです。
「撮影したのは誰?」とは決してたずねなかったさやかさんですが、ポールが一緒に出掛けた相手の性別をうやむやにするためにmy friendという表現を繰り返すと、さやかさんは"So she was a  ...."などと「同行した人間は女性である」という前提で言い返して、ポールを困らせたそうです。私の想像ですが、さやかさんのこういう部分がポールを安心させたのではないでしょうか?
「特定のパートナーはいなくても、デートしている相手くらいいるんでしょ?」と構えてくれている女性は、少なくとも一回一緒に出かけただけでガールフレンド面はしないだろうとわかりますから、誘いやすいですよね。

関連記事:アメリカのライトなデート文化を理解しよう - Inside the gate


初めてのデート  チェック項目はたった一つだけ

そしてついに、初めて二人きりで出かけることになりました。さやかさんにとってチェック項目は一つだけ。
「私はこの人を上司として素敵だと思っているだけなのか、それとも異性として惹かれているのか確認したい」

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(画像は 5 Reasons Why You Should Have a Crush on Someone at Work - Blog Flirt.com からお借りしました)

職場にいると、外見も含め、彼の上司としての格好いいところしか見えてきません。そういうものだけを見て勝手に理想を抱き続けているだけなのか、それとも自分はこの男性に、一人の人間として興味を持っているのか・・・。二人きりで出かけてみて、自分の答えを出したかった。
ところで初めてのデートですが、なんとこう誘われたのだそうです。

「息子の誕生日プレゼントに日本のものをあげたい。カスタマイズしてもらう必要もあるかもしれないから、言葉の面でも助けが必要だし、一緒に見に行ってくれないかな?」


ポールはこの時、「別れた妻との間の息子」とは説明しなかったんですって。ただ息子としか言わなかった。これはポールがさやかさんの賢さを信頼していたからこそ切り出せたこと。「こういう風に言えば、察してくれるだろう」と。
アメリカ人はこんな風にして、相手が聞きづらいであろう自分の状況についてヒントを出すのがうまいですよね。ダイレクトに聞いてしまう日本人には理解しがたいかもしれない。

そしてデート当日

tokyo

横須賀中央駅で待ち合わせした二人は、周囲に気をつけて電車に乗り込みました。
中央駅から一駅はなれるごとに、上司と部下という関係から解放されるかのようにリラックスできたそうです。
息子さんへの贈り物を選んだり、一緒に街を歩きながらさやかさんはこう思ったと言っています。
「叩けば埃が出てくるどころか、ものすごいものが出てくる人かもしれないという不安は正直言ってあった。だけどデートしてみたら楽しくて、もっと知りたいと思う気持ちを止められなくなった」

「手近の女」のメリットを最大限に活かした

ポールのようないい男を落とせた勝因は、手近の女という立場を利用しきったからだと、私はさやかさんの話を聞いていて思いました。手近な女=安上がり、だと思っていませんか?そうではないのです。
皆さんもご想像のとおり、さやかさんはおそらくモテます。しかも仕事を通じて一緒に過ごす時間が長ければ長くなるほど、そのさりげない優しさに同僚男性達がどんどんはまっていってしまいそうなタイプ。上司として近くで見ていて、やはりポールもやきもきしたんじゃないかな。
今まで自分の周りに集まってきていた、「アメリカ人ってかっこいい~♪(目がハート)」という女性達にはない新鮮さもあったでしょう。

夫をサポートし続けるためにやっていること

ポールは仕事に対して真剣な人でした。それも「手近な女」として彼を観察していて知ったことの一つであり、結婚前に知ってよかったことの一つであったとも言っています。
「仕事命みたいな人だから、結婚してもきっと寂しい思いをするだろう」
そう覚悟していたさやかさんは、ポールとの結婚を機に仕事を辞めたしばらく後、ベースの他の場所で働き始めました。
夫の帰りを待つだけの生活をしていたら、きっと夫婦としてうまくいかないし、夫をサポートし続けるためには、自分も人間として成長し続ける必要がある。だから自分も仕事をして切磋琢磨して自分の世界をもっていれば、夫にべったりにならずに済むし、年齢的に自分は夫よりもうんと下だけど、きっと支えてあげられる存在になる。
これって夫が日本人でも言えることですよね。精神的な支えとしてだけでなく、ブラック企業で殺されそうな夫に「そんなもんやめちまえ」と言えるだけの経済力が妻にあるって大切なこと。(夫の保険金で住宅ローンを返そうと目論んでいる主婦には関係ないか・・・)
それからさやかさんの素敵なところは、こういうたくましさや強さを感じさせない外見。ぱっと見はとてもフェミニンで色っぽい。だからこそポールも恋したのでしょうね。

横文字の名字を手に入れてYナンバーの車を運転したいだけの女性の心には届かない、響かないであろうエントリーは以上です。
さやかさん、投稿・公開に快諾してくれてありがとう。

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