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Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

アメリカ人の強烈なかまってちゃんに学んだこと


その人は悪い人ではない。だけど「厄介な寄生虫にとっての棲み心地のよい宿主」になることだけは避けたいと思っていた私にとって、アメリカ人の超強烈なかまってちゃん・Dさんの存在は要注意人物でした。

棲みつかれたくないと思って距離を置こうと思ってもあちらからどんどん近づいてくる。だけどその頃の私は自分の中にある「すみごこちの良さ」が何なのか、気がつき始めていました。
それをコントロールすることにより、うまく逃げ回ることができていたと思います・・・といいたいところですが、逃げ切れませんでした。そうやって絡まれて学習したことについて書きたいと思います。

http://www.flickr.com/photos/33881438@N03/5085117924

photo by Emma Brabrook

問題なのは、使い古されたギャグそのものじゃない。「引きつった笑い」に気がつかないということが問題

彼女がこの職場のやってきた初日、大きなアクション付の日本語でギャグをかましました。それに対し、日本人従業員達は笑ってあげたのです。家庭では決して満たされなかったものが満たされたDさんは、それ以来味をしめて、めちゃくちゃ高いテンションで同じ日本語の冗談を何度も繰り返し、笑いを強要するようになりました。問題は大きなリアクションで同じ冗談を繰り返すうざさよりは、彼女が笑いを強要していることに気がついていなかったことです。

たとえばオヤジギャグを連発するおっさんは、心のどこかで「俺ってうざいんだろうな」とわかっているじゃないですか。そのうざさを含んで不思議な面白さを感じさせるのがオヤジギャグ。だけど彼女には一切それがありませんでした。おそらく「私の冗談は皆を笑顔にしている!」と思っていたと思います。
日本人従業員に対してだけならまだしも、日本語を母国語としないヨーロピアンの従業員や南米出身の従業員、フィリピン人の従業員達にも日本語のジョークをかますのです。彼らは日本人と違って愛想笑いを返しませんでした。返すとしたら、苦笑いか「もうそれ、やめなよ」という率直なひとこと。
彼らはそれを日本語で言うのですが(Dさんが日本語で会話をしたがっているから)、Dさんは何を言われているのかさっぱりわかっていないようでした。そして笑いながら"Thank you!"というのです。
「薬でもやってんのかな・・・」と人々は囁き始めました。

同じアメリカ人でありながら、アメリカ人従業員になじめない理由

私達がアメリカ人従業員達に時々Dさんのうざさをこぼすと、信じられないといった表情でした。それもそのはずです。Dさんは彼らの前ではまったく別人だからです。アメリカ人達の前では、Dさんは双極性障害の一面を見せることはしょっちゅうあっても、寒いギャグは封印し、彼らに話を合わせていましたから。

Dさんが寒いギャグを封印したのは、それがアメリカ人には受け入れられないことをわかっていたからでしょう。それは「アメリカ人達は日本語がわからないから、ギャグの面白さが伝わらないだろう」ということではなく、アメリカ人達は面白くなければお情けで笑ったりしないということを、同じアメリカ人としてわかっていたからだと思います。
日頃から「アメリカ人よりも日本人の方が一緒にいて楽しい」と言っていたDさんは、フェイスブックでアメリカ人女性の同僚達が皆で飲みに行った画像を見て、当然自分だけが誘われていないことに気がつくわけです。
だけどそれでも構わない。Dさんは愛想笑いをしてくれる日本人達の方が好きなのです。日本人といえばその国民性が論じられる際に「本音と建前」がよく取り上げられますが、Dさんはその建前を好み、建前に救われていた人だったのです。

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指摘・拒絶に対して異常に弱い

「私は皆を笑顔にする天使」と信じて疑わないせいか、指摘や拒絶に対してとても敏感で弱いというのがDさんの特徴でもありました。褒められて伸びるタイプ、といえば聞こえはいいのですが、常に賞賛を求めていました。それがギャグと同様にうざい。

「ねえ、今日お客さんに褒められたの。あなたはとてもsweetね、って。私ってsweetかな?」

「私のgiggling(くすくす笑うこと )がキュートだって言われたの。あなたもそう思う?」

私ならばお客様からのポジティブなフィードバックで十分満足します。いただいたお褒めの言葉は、自分の心にそっと閉じ込めて大切にするもの。誰ともシェアしない自分だけの宝物なのです。

※giggle 日本人女性はいい年になってもこれをやるといわれています。特に口を手で押さえてくすくす笑うのは、外国人がよくやる日本人女性の真似でもあります。

なぜならその宝物は、見せびらかしたい・ひけらかしたいという人間の意図が見えた時点で、自分以外の人間にとってはゴミ以下だからです。だけどDさんは自分の心の中に閉じ込めておくことができませんでした。幸せな気分に浸るために、他の人達からの同意と賞賛というダメ押しが必要でした。

「褒められたことを黙っていられない。もっと褒められたい!」

だけど彼女はこういううざい質問をする相手を選ぶずる賢さはありました。なぜなら「自分が聞きたい答えが返ってくる」という保証がない人とは喋りたくないからです。

ある日南米出身の従業員がDさんにこう言いました。

「君がそうやって誰彼構わず日本語の冗談を言ってそれにつきあわせるのは、失礼だと思うよ。いいかい?フィリピン人に感心されるようなことを言いたいのであれば、彼らにはタガログ語のジョークを言うべきだ。僕を感心させるようなことを言いたいのであれば、僕の母国語であるスペイン語でどうぞ」

彼にそういわれた彼女の顔色は、私が彼女に「専門家のお世話になってみたらどうかな?」といった時と同じくらい蒼くなりました。彼女はこういった指摘に対し、とても弱い人でした。こういう個人的な行動に対してだけではなく、仕事に関する指摘にも弱かったのです。

日本語の上達よりも、空気を読む力を先につけよう

皆、彼女に疲れていました。フィリピン人従業員、ヨーロピアンの従業員、南米出身の従業員だけではありません。日本人従業員も彼女を避け始めるようになっていました。建前崩壊です。

ちなみにDさんが働き始めた頃、男性従業員ならば誰もがその愛らしい容姿に惹かれ、ちやほやしていたのです。ところが1ヶ月経ってみると「一緒の時間帯に入りたくない」とまで思われるようになってしまっていました。
美人には3日で飽きるといいますが、どんなに可愛くても、ヘビーなかまってちゃんは一ヶ月で疎まれるということです。

「私は日本語をもっと頑張るわ。そうしたらキャリアにおいても何かと有利でしょう?」

Dさんがこう言ったのを聞いた日本人従業員はおそらく全員同じことを考えていたはずです。

「日本語を学ぶよりも、空気を読む力を養ってくれ。語学よりも人間性が大事だ」

旦那もっとDさんをしっかり見てくれていれば・・・職場で同僚がどんなに迷惑していても、旦関係ないのかなと思いました。むしろDさんが結婚生活では満たされないものを職場で補い、精神的なバラ ンスをとることによって、旦那さんは自宅では「僕の可愛いブロンドちゃん」と楽しく過ごせるわけです。面倒なことはぜーんぶ外部の人間に丸投げしておいしいとこどりですよ。

Dさんのご主人がもっと家庭で彼女の欲求を満たしてあげていれば、職場の人間がベビーシッターをさせられなくて済んだわけです。だから私の憤りは当然彼女の旦那さんへと向かいました。おまえは何やってんだよ?と。
ここは職場であって、あなたの嫁のための貸切ディズニーランドじゃないんですよ。