Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

米海兵隊に対して言ってはいけないこと

米海兵隊(US Marine Corps. 以下マリーン)といえば、ユニフォームが1インチでもずれていると「直してこい!」と言われてしまうほど(ただしDress Blueの時だけかもしれません)規律に厳しいことから、他のブランチ(陸・海・空・沿岸警備隊)に比べると兵士が精悍なイメージがあります。

2011 St. Patrick's Day Parade, NYC

例えば横須賀のどぶ板を巡回するショアパトロールを見ていても、マリーンの場合、ネイビーのSPのようにセブンイレブンの前でぼけぇっとしているのを見たことがありません。
ベージュ系のカモフラージュの制服と、赤地に黄色い文字でSPと入った腕章をつけてびしっとしています。

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マリーンは精神的にマッチョなのかな、と思って詳しい人に聞いてみたところ、こんなことを教えてもらいました。

1.Smart as a Marineというジョーク

マリーンといえば、鍛え上げられたたくましい体の持ち主が多いですよね。だけど鍛えすぎた結果、脳みそまで筋肉になってしまったのかもしれません・・・。
といいますのも、米軍では単細胞で使えない人(いわれたことを言われた通りにやることしかできない)のことをからかう時に、陰で"He is smart as a Marine."というそうです。
「ディヴィジョンでいえばマリーンのinfantoryにいる奴は特にすごい(笑)」とのことです。ですからもしあなたが「きゃーーーマッチョなマリーンかっこいー」と思って、真剣なおつきあいを考えているのであれば、そのマッチョなマリーンがinfantoryであれば覚悟したほうがよいでしょう。あちらにも選ぶ権利はありますけどね。

2. Never say "He's an ex-Marine."

ex-Marineのどこがいけないの?と思いましたが、former Marineならよいそうです。
なぜならex-Marineだと、自動的にdishonorable discharge(不名誉除隊)=何かやらかしてキックアウトされた人と結びつけられてしまうから。insultとして受け止められるということ。
これを教えてくれた人に「じゃああなたはもし元マリーンの人のバックグラウンドを他の人に説明する時になんて言ってるの?」と聞いたところ、"I'd just say he used to be a Marine...or I won't even bring it up."という答えが返ってきました。

関連サイト:'No Such Thing as an Ex-Marine' | Military.com

 

マリーン=筋肉バカではない

ここまで書いておいてなんなのですが、どこのブランチとも同じように、立派な方はたくさんいらっしゃいます。マリーンをリタイアした後も、現役時代、毎日のようにびしっとユニフォームを着ていた習慣が抜けず、髪型も服装もちょっと力を抜くということすらできない人もいます。とにかくきちんとしている。
マリーンといえば有名な映画「ア・フュー・グッドメン」。マリーン特有の文化や気質みたいなものについて知るきっかけとなった映画でした。

ア・フュー・グッドメン (字幕版)

ア・フュー・グッドメン (字幕版)

  • ロブ・ライナー
  • ドラマ
  • ¥1000

私の知人(ネイビー)はこの映画を「見すぎて嫌いになった。セリフは全部覚えている」そうです。


部下を守り切れなかったことを恥じ、口に発砲して自ら命を絶ったマシュー・マーキンソン中佐。この世を去る時、Dress Blueの正装をしてから発砲。こうして最期までマリーンでいられたことへの誇りとともに去っていった役柄は、民間人には決してわからない軍人特有の誇りを描くために重要だったと思います。
最後に判決が読み上げられた後、被疑者の一人が"What does that mean? I don't understand."といった時、私も同じことを考えました。「え?どういうこと?」と。今見ても面白い映画です。
映画はしょせん作り物だと思ってみていても、この映画から得られる既視感というか、出演者それぞれが「あーこういう人、米軍にいそう!」と感じさせるものが素晴らしいのです。
名字の前にPrivate, Officer, Lieutenant,Colonel というランクをつけて呼び合う様子は、在日米海兵隊基地で働く日本人従業員達にしてみれば、とても日常的なのではないでしょうか。

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