Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

チップをもらう立場になってみて気づいたこと(2)

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私が働いていた米軍施設では、メインのバー以外にも、バーテンディングの技術がない人間でも提供できる程度のアルコールを置いている小さなバーがありました。時々私もそこに入るのですが、そこでいただくチップだけで相当な金額をもらえる日がありました。
お客さん達が$2.50のビールを買って$5ドル札を出す。そして「釣りはいらねーよ」と言って立ち去るのです。

"Keep the change." 「お釣りはとっといて」
"Cheers." 「乾杯」

そんなことを言いながらお客様はチップを置いていってくれるのです。
私はバーのカウンターにチップジャーは置きませんでした。というか置けませんでした。大きなバーのカウンターに置くことはよくても、それ以外の場所にジャーがあるのは不自然だ、という上層部の人間の方針でした。えーアメリカに行けばコーヒーショップにすらチップジャーがあるのになー、と私達は心の中でけちをつけつつそれに従っていました。

だけどジャーを置いてなくても、すっとカウンター上を滑らせるようにお客さん達は置いていってくれるのです。
ある日のこと。前のお客さんがすっとチップを置いて残して行くのを見ていた次のお客さんが"You guys don't have a tip jar?"「君達はチップジャーを置かないの?」と聞いてきました。

"I wish we had one...but thanks for asking!"

「置けたらいいんですけどね・・・でもお気持ちだけでも嬉しいです」と答えると、お客様がチップとして一ドル札をカウンターに置き、お財布の中を覗き始めました。そして取り出したのがこの二枚のクオーター(25セント硬貨)。

「このクオーターはあまり見かけないから、もしかしたら集める価値があるものかもしれない」といって先ほどの1ドルとともに置いていきました。あまり価値はなさそうなのですが、こういうやりとりが楽しいんですよね。だから安月給でも頑張れた。今になってみると、あの頃はお金をもらいながら英語を勉強していた日々だったなぁと思います。

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