欧米のメディアが「砂漠の薔薇」と持ち上げていたのは、ISによる侵略や国内の紛争が続くシリアのファースト・レディであるアスマ・アル=アサド氏。
Asma al-Assad: A Rose in the Desert
夫でありシリアの大統領であるバッシャール・アル=アサド氏は、父親も大統領で、ゆくゆくは父親のように大統領に就任する予定だった長男が交通事故死したため「別に大統領になりたいと思ったことはないけど、しようがないからぼくちんがなろうかにゃ」って感じで大統領になった人。
そして夫人は裕福なシリア人の両親を持ち、イギリスで生まれ育った女性。となるともうアイデンティティーは完全にイギリス人ですよね。現在夫人はイギリスを除くEU諸国から入国拒否の対象になっています。「砂漠の薔薇」は欧米メディアが作り上げた虚像で、実態は「中東のイメルダ・マルコス」であることがばれてしまったからですね。彼女はラニア王妃のようにはなれなかった・・・。
兄が亡くなってしまったから、と担ぎ出されてなんとなく大統領になった人と、シリアにあまり思い入れも愛着もなさそうなファーストレディの夫婦は、お似合いといえばお似合いです。だけどお金はあっても志のない人が舵取りをした結果が、今のシリアの惨状なのかなと考えてしまいます。
photojournalist took this photo 4 Syrian child, thought he has a weapon not a camera so she Gave up ! #Surrended pic.twitter.com/bm1hOWQWJY
— Nadia AbuShaban (@NadiaAbuShaban) 2015, 3月 24
photo by FreedomHouse
英語がわかる方は以下の記事を読んでみてください。
Don't film ... I don't want the world to think I'm weak - Al Jazeera English
現在も多くのシリア難民が、いつ母国に帰れるかもわからない状態で、近隣諸国を中心に難民生活を送っています。上の記事はマレーシアのクアラルンプールで難民生活を送る50代のシリア人男性の生活について書かれています。
このシリア人男性を不憫に思ったバングラデシュ人の労働者二人が、生活を共にしようと招いてくれた場所は、クアラルンプール内でもあまり治安がよくないところなのか、夜になると安全とはいえない場所だと書かれています。再発性の肺感染症を抱えながら、シリアで目の当たりにした残忍な光景にうなされて安らかな眠りにつくことすらできない。
それでも自分には、シリアに残された親戚達にはない「安全なベッド」がある。クアラルンプールの治安が悪いエリアとはいえ、祖国のシリアよりは安全ということなのです。
アルジャジーラのインタビューの最中に、この難民男性は時々感情的になったり泣き出したりしたそうです。
「撮影はしないでくれ。世界中に自分が弱い人間だと思われたくないから」
罪もないのに心も身体も傷つけられて、日々生きていくのに精一杯。疲れ果てて、それでもいつかはシリアに帰りたいと願う人々がいる。
自分が毎晩ばふっと清潔な枕に顔を埋める瞬間のあの幸せを、当たり前だと思ってはいけないのです。安全で雨露をしのげる家があるって、ありがたい。