横須賀基地のHRO(人事部)の仕事の遅さに対し、"Well, our amazing HRO is ...."と皮肉っぽく言い出すアメリカ人までいます。そのくらい遅いのですが、どの部分でそんなに時間がかかるのでしょうか?
やっと面接合格。その後もさらに待たされる
日本政府側のHROとアメリカ政府側のHROが分かれているのか、それとも同じところは不明ですが→分かれているそうです。そこらへんよくわからんということを前提にこの記事を書き進めていきます。
横須賀基地では、内定が出ても勤務開始までに時間が空きます。
◆日本政府雇用(HPT/IHA/MLC)の場合:【横須賀基地】本採用までかかる時間 - Inside the gate
現在ではもう少し時間がかかるでしょう。だけどこれで驚いてはいけません。
アメリカ政府雇用側(NAF)は、特にMWRと呼ばれるところはもっと時間がかかるからです。内定が出てから実際に働きだしたのは、それから半年後なんていうケースはざらです。
勤務開始までに時間がかかるのは、そもそも本当にHROの怠慢なの?
HROの怠慢もあります。
私の知人(アメリカ人女性)は、MWRのある空席に応募したのはよいのですが、書類審査の結果がなかなか返ってきませんでした。まあ1か月くらい音沙汰がないのは普通ですが、彼女がHROに問い合わせたところ、返ってきたのは「ごめんね、応募書類なくしちゃった」というものでした。再送付しようにも、もう応募締め切りを過ぎた後なので受け付けてもらえません。しかもあちらのミスです・・・・。
ありとあらゆるプロセスが遅いのはアメリカのお役所仕事の特徴ですが、横須賀基地のHROの仕事ぶりは本当にamazingだなと思いました。
尻を叩いても急いでくれないHRO
また内定から勤務開始まで半年待たされたアメリカ人男性二人の話を聞いたところ(彼らもMWRの空席に応募したそうです)、こんな話が出てきました。
HROに電話して"Can I check my status?"「(バックグランウンドチェック等を含む)僕の審査の状況を教えてもらえますか?」と聞くと"Still processing."「処理中です」のひとことしか返ってこない。あまりにも遅いから毎日HROに電話して確認した。あちらがうんざりしているのもわかったよ。だけどそれでも毎日電話した。だってあまりにも時間がかかりすぎているんだから。
電話攻撃は二人たとった行動に共通していたことでした。
内定が出てもその後のバックグラウンドチェックに時間がかかるから、といえば半年待たされてもまあしようがないと思えるかというと、とんでもありません。日本政府に雇用された人で半年もかかったケースは聞いたことがありませんから、やはりアメリカ政府側の仕事って遅いんだなぁと思いました。HROの怠慢というか、あそこにいる誰かしらが仕事をきちんとしていないのでしょう。その誰かしらの集団が、HROとでもいうべきか。
効き目がないのは応募者による電話だけではありません。地位の高い人が「この応募者の手続きになんでこんなに時間がかかるんだ?急いで処理をしろ!」と特定の応募者の勤務開始を急かしても、結局7か月くらいかかったケースもあります。
Spouse Preferenceという切り札が失効した場合
在日米軍基地では、アメリカ政府によって雇用されるポジションにはMilitary spouse preferenceという制度があります。軍人の配偶者優先ということですね。過去記事でも書いております。
>> より適格な一般応募者よりも、米軍の家族が優先的に採用されることによる弊害 - Inside the gate
この優遇制度の対象となっている場合、書類の処理も他の応募者よりは早くしてもらえるそうですが、それでも半年かかるんですよ・・・。急いで半年って・・・。だけどこの制度ですが、何度でも使えるわけではないそうです。
例えばSRF(Ship Repairment Facility)というコマンドの空席に応募する際に、このSpouse Preferenceを使ったとしましょう。
そこを一旦諸事情で退職し、数か月後に同コマンドの別の空席に応募するとします。するとこのSpouse Preferenceという切り札は、もうそのコマンドで使えなくなります。この制度にあやかれるのは、一コマンドにつき一回だけ。
ですから仮に採用されたとしても、書類の処理は一般応募者と同じようにされてしまうんですって。
基地内での異動はかなりスムーズ
これだけ待たされる勤務開始ですが、いったん働き始めてしまえば他のコマンドに異動する際には、半年も待たされることはありません。異動が決まってたった1か月ちょっとで異動先で働き始めることができたアメリカ人男性の、ちょっと特殊なケースなんてのもあります(これは何かしらの力が作用したのでしょう)。このケースはこの記事とは主旨が異なりますので、また別の記事で書きます。