横須賀基地で働くうえで英語力よりも必要なもの - Inside the gateの続きです。
日本語の読み書きや会話がおぼつかなくても、福利厚生のしっかりした仕事に就けることから、横須賀基地には第三国から出稼ぎに来ている人達も大勢います。
日本語もあまり話せないしかといって英語もそれほどうまくない従業員とのコミュニケーションはなかなか大変です。でも人間としてわかりあう必要はなく、仕事がうまくいけばいいだけなので、そこにポイントを絞ると結構気が楽になります。
「この人は母国で働いていたらもっといい仕事に就けるのではないか」という想像力を持つことは大切
意思の疎通がうまくいかないと、やはりいらっとしてしまうことはありました。「なんでこの人は在日米軍基地で働いているのに、英語も日本語も拙いのだろう。よほど重宝される技術でももっていない限り、言語は最低条件なのに」
だけどそんなことを嘆いていても時間の無駄です。互いに歩み寄って仲良くやろうと頑張らなくていいので、とりあえず現場が機能してりゃいいか程度に歩み寄ればよいと思いました。仕事に関係のある話が簡潔にできればいい。あとは万国共通でそこそこ和気あいあいとなる下ネタでアイドリング。
そして日本語も英語もいまいちな第三国出身者が母国に帰ったら、もっといい仕事に就けるくらい教養のある人なのではないか、という想像を巡らせてみることも大切です(でも実際にベースで使えない外国人は母国でもあまり…って感じの人が多い)。しかも日英がいくら拙くても、少なくとも彼らはトライリンガルです。バイリンガルの私に比べたら、生きていくためにしている努力は比べ物にならないでしょう。
日本に暮らしているのだから、もっと日本語を学べ!と言っても無駄な理由
小島慶子さんが「このままだと日本は(日本語の)ネイティブスピーカー主義の差別大国になってしまう」とツイートされていたけれど、ここは日本なのだから、やはり日本語が話せることを求められるのはあたりまえだと思うし(ネイティブレベルで話せないと仕事として成り立たないものはたくさん存在すると思うから)、かといって話せないからというだけで外国人をバカにするのも品格に欠けると思います。
このような理由もあって、私は一緒に働いた第三国からの出稼ぎ労働者達には「日本に住んでいるんだからもっと日本語頑張って勉強しなよ」とは言いませんでしたが、私がそれを求めなかった理由はもう一つあります。
出稼ぎ労働者は日本が好きだから日本に住んでいるわけではなく、
- 生きていくため
- 母国にいる家族を養うため
という目的でこの国に暮らしています。だから日本語なんて最低限話せりゃいいやと思われていてもしかたがありません。モチベーションがないのですから。むしろ磨くとしたら仕事により密接に関係する英語の方を磨きたいでしょう。時間もエネルギーも有限ですもの。
日本の歴史をしっかり勉強し、万葉仮名まで書ける外国人を知っていますが、そういう人は日本じゃなくても、母国でも生きていける/食べていけるけど、他の選択肢があるうえであえて日本を選んで住んでいる人。そういう人と同じレベルの日本語を出稼ぎ労働者に求めるのは(特にベースで日本語能力不問の仕事に就いている人達)、どうかなぁと思います。ゴミの分別がきちんとできる程度には読めてほしいけどね。
そして出稼ぎ労働者達はやはりタフじゃないと生きていけないだけあって、一緒に働いていてずるいなぁ、したたかだなぁと思うことは多々ありました。そういう人達とうまくやっていくためにも、なめられないようにすることは大切です。これは言語よりも大切!(これについては前回の記事で書きました>>横須賀基地で働くうえで英語力よりも必要なもの - Inside the gate
語学以前の問題について考える関連記事