「客に何か言われたら、相手が気が済むまで平謝り」という光景はまず見られない横須賀基地。お客様は宝物ですが神様ではありません。そこで接客業に就いていた時に感じたこと、学んだことです。
私よりもうんと若いのに、頭の回転が速くて機転とはったりの利いた従業員カイルや、私が受けたパワハラの相談相手になってくれたレイチェルは、客とのトラブル対応に不可欠の存在でした。
特にレイチェルは女性なのに感情的になることなく、とてもプロフェッショナルに職務を遂行することができた人だったので、同性としても従業員としても尊敬していました。
そんな二人に褒められるととても嬉しかったのですが、どんな風に褒めてくれたかというと、こうでした。
"I actually like it when you have an attitude."
ずるい同僚や無礼な客に対して、私がちょっと強めの態度をとる時の様子が、実は二人は好きだったのです。
「いや~ん、お客にこんなこと言われたの。ちょっとここにきて対応してくれる?」とすぐにカイルやレイチェルに泣きつくのではなく、まず自分できちんと対応できるところまでする。エスカレーションはその後です。
普段の私は穏やかで、いえ、おそらく穏やかすぎて、カイルがkitten head(子猫の頭のように柔らかくてふわふわしていて頼りない感じがする)というニックネームで呼ぶほどでした。
だけど普段とのギャップの使い方くらい私も知っていました。
年上だからというだけでわがまましたい放題のフィリピン人のおばちゃん達や、理不尽なことを言ってくるような客やハラスメントをしてくる客のように、ここはばしっと言っておかないと駄目だなと感じると、表現に気をつけつつもはっきりとNo.を伝えていました。
あるいは相手が相当バカならば、2,3分経ってから「もしかしてあれは皮肉だったのかな?」とじわじわ効いてくるような皮肉をジャブのごとく使ったりしましたよ。
「こんなこと言われたの!」と騒いでヘルプを求める「こんなこと」のレベルを上げよう
防衛省によって雇用されている従業員達(そのほとんどが日本人とフィリピン人)は、米政府雇用のアメリカ人従業員達から見ると「その程度でぎゃーぎゃー言ってんの?」ということが多かったのです。「そのくらいなら自分達で対応してね」ということですね。
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英語力やコミュニケーション能力がないと、どうしてもネイティブスピーカーの従業員に泣きつくことになるし、そういう従業員をフォローすることは、彼らの仕事でもありますから仕方がない。
だけど経験を積み重ねることで、他の人に頼らず自分だけで対応できるハラスメントの幅は広げていくべきですが、残念ながらボキャブラリーなどが積み重ならない人はいます。語学の習得には向き不向きがありますから。
そういうフィリピン人従業員達の尻ぬぐいは本当に疲れましたが、彼女達に支払われるお給料は、日本国民が支払っている税金です。こういうのを見ていると正直言って「おまえらもっと努力しろよ」と思いました。5年以上ベースで働いているのに英語がブロークンのままとか、ありえないでしょう?!
特にIHAはボーナスも住宅手当も地域手当も、勤続年数によっては退職金も出るんだよ~。本来ならあなた達よりももっと適格な日本人がいるのに、その雇用の機会を奪ってまでそれらを享受している立場なら、もっと頑張ってよ。
話がそれました。
日本人だからとバカにしてくるアメリカ人客に対する対応
私が遭遇して自分で対応して終わらせたハラスメントの例として、こんなものがありますが、ここまでひどい客は横須賀基地でもそう遭遇しませんでした。ほとんどのお客様が普通の方でしたから、そんな感じで読んでください。
ある晩カウンターに立っていたら、ギャングのような服装をした男性客がやってきました。挨拶をすると、その男性はメニューを手に取りましたが、何をオーダーするのか決めるのに少し時間が必要なようでした。
2,3分経ったので私が"Are you ready(to order)?"と聞くと、その男性客はこう言い返しました。
"Yes, I'm ready. Are YOU ready?"
私は待っている側だったというのにこんなことを聞くなんて、変な人だなぁと思いました。
"Yes, I am. What can I get you?"
"Are you really ready?"
(この人何が言いたいんだろう・・・)
"Yes.....? (イラっとして)Would you like to order or no?"
"Are you ready for a big dick?"
ああ、私はからかわれているのだとわかりました。立派なハラスメントですよ。キレかけましたが、ここは少し我慢です。まずはこの男のオーダーを取りました。そして会計を先に済ませます(理由は後述)。
そしてレシートを渡しながらこう答えました。
"I'll go grab security and you'll repeat what you just asked me when they get here. "
「セキュリティを連れてきますので、彼らが到着したら今私に言ったことをもう一度言ってみてください。」
この男性客は焦りました。そしてすぐに無言で立ち去り、当然オーダーした食べ物を取りに戻ってくることはありませんでした。セキュリティが張り付いていたらもうおしまいですからね。横須賀基地で働いていた時は、こういう風になんだかんだいってハラスメントから守られている感じはすごくありました。
そして私はカイルを呼び出しました。
「おなかすいてる?」
夜食を必要としているカイルはすぐにやってきてたので、やつがオーダーしていった食べ物を渡しました。
カイルはにやにやしながら「マリア、いったい何をやったんだ?」と聞くのです。
「お客さんからおごってもらった」
目を細めながら私をじっと見て、薄々何があったのか気づきながら「せっかくだからもらうよ!」と言い、それのフリーフードを持ってるんるんと歩き去っていくカイル。そんなものです。
自分で判断してはいけないこと
なんでも自分で対応しようとせず、「これはより大きな権限がある人間の判断を仰いだ方がよい」ということは必ずエスカレートさせます。例えば米軍基地内で気をつけなくてはいけないのが、忘れ物の扱いや救急車を呼ぶ時。
ミリタリーID, アメリカ合衆国のパスポート(特に赤いパスポート=Special Issuance Passport)などが忘れ物に含まれていて、それを引き取りに来た人間が持ち主以外の場合など、必ずレイチェル達に確認してしました。
米軍のIDやアメリカ合衆国のパスポートは、プラチナカードみたいなものですからね。
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