仮面夫婦を生みだす米軍の福利厚生の手厚さ - Inside the gate の続きです。
私が横須賀にいるアメリカ人ネイビーワイフ達を見ていて「この人は結婚生活がうまくいっていないんだろうな」と思うのは、夫が陸上勤務なのにどぶ板でしょっちゅう飲み歩いているネイビーワイフ達です。
カップル文化のアメリカでは、日本ほど「夫婦それぞれの形があるから」と言いながら夫婦の問題を直視することを避け続けたりしない
どぶ板でネイビーワイフ達がしょっちゅう連れ立って飲み歩いている姿を見かけても、その人達の夫が船員ならなんとも思わないんですよ。「旦那さんがクルーズに出ていて寂しいから女同士でつるんでいるんだろうな」としか思わない。
だけどせっかく夫が陸上勤務で毎日一緒なのに、しょっちゅうどぶ板で飲んでいるアメリカ人妻は、一見幸せそうに見えても結婚生活に大きな問題を抱えている人ばかりでした。そして彼女達の夫も同じようにしょっちゅう男同士で飲み歩いていました。
日本人なら「飲むのは旦那よりも女友達との方が楽しいのー」と言って妻がしょっちゅう飲み歩いていても、「まあ夫婦には色んな形があるから」と言って済まされることが多いじゃないですか。「楽しみたい時は友達と一緒で、家族は空気みたいなもの」のどこがいけないの?みたいな。家族になったらもう日常を事務的に消化していくことに、何の不満も感じないというか、それが家族でしょ、みたいなところがありますよね。よく言えば馴れ合いの心地よさ、気楽さがよしとされている。
だけどカップル文化のアメリカは、夫婦がお互いを楽しませることを怠っていることに対して、都合よく言い訳し続けず、問題を直視し、衝突します。
ですからどぶ板で酔っ払って一時的にはその問題を忘れることができても、結局根本的な解決にはなっていないことは、本人達もよくわかっています。
夫がbuy me a drink barに通うようになったら・・・
これまた日米比較になってしまうのですが、日本人は結婚後も夫がキャバクラに行くのは、好ましくないとはいえ、同僚達との飲み会の二次会だったりしたら目をつぶるし、キャバクラやクラブ(語尾を下げて発音する方のクラブ)に行くという行為のハードルが、よほど嫉妬深くて束縛が強い妻を持っていない限り、男性にとって低い。だけどアメリカ人の場合は違います。
キャバクラやクラブのように女性店員にドリンクをご馳走する→女性店員の売上げになる、というシステムのお店をbuy me a drink barと言います。実は 「フィリピーナがバーテンダーなのに、フィリピーナ好きの日本人のおっさんが近づかない不思議なバー - Inside the gate」で紹介したVICTORIA'Sというバーが、アメリカ人女性の話ではbuy me a drink barだそうです。知らなかったよ!
キャバクラとの違いは、「え?○○さんって血液型X型なの?私もー!」みたいな、必死で盛り上げようとしている会話が交わされて、なんとなくその場の勢いで飲む場所ではなく、もう最初から明らかにflirt目的で行く場所ということです。
◆flirtとは? Flirtはライトに、楽しい範囲にとどめよう - Inside the gate
夫がこのbuy me a drink barに通うようになったら、ネイビーワイフ達は黙ってはいないでしょう。なぜならアメリカでは、日本のように男性が「同僚や友達と皆で綺麗な女の子とお酒が飲みたい」「ちやほやされたい」といったことにお金を使うというビジネスが発達しておらず、そういうことに払う金があるなら俺はreal deal(本番)のために払うよ、という感じです。ですからアメリカ人男性にしてみたら、銀座の高級クラブで綺麗なホステスさんと擬似恋愛、非日常的な時間を楽しむためにお金を使うなんてばかばかしくてしようがないと思いますよ。「金を払って相手してもらって何が楽しいんだろう」と思うでしょうね。
ということは、real dealにお金を払うのではなく、buy me a drink barに行く=精神的に満たされていない状態、何か問題を抱えている状態ですから、肉体的な欲求不満よりも厄介である証拠。だからネイビーワイフ達としてもほうっておけないわけです。
◆おまけ
WestPac Widow(ウェストパックウィドウ)という言葉を聞いたことがありますか?米海軍の中でも、船が出ている時間が長いといわれているアメリカ西海岸配属のセイラーの妻達に由来するこの言葉の意味は、以下のサイトを参照してください。
◆Urban Dictionary: WestPac widow
「海軍の街・サンディエゴにはこの人のそっくりさんが多い - Inside the gate」で紹介したTrophy LoungeなんてまさにWestPac widowだらけでした。ただしフィリピン人妻がほとんどでしたけど。まあ効率よく出会えるというか、割り切った者同士が集まるバーだったのでしょうね。要するに、WestPac widowは夫がクルーズに出ている間に遊びまくるネイビーワイフ達のことです。
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