8月か9月か忘れてしまいましたが、どぶ板通りで一度に20人くらいの兵士達が逮捕されたことがありました。おそらく乱闘事件でしょう。
その夜の早い時間に横須賀基地では大きな二つのグループが目撃されたそうです。一つのグループは全員白い服を着て、もう一方は黒一色と、両方ともストリートギャング風だったとのことです。このグループがどぶ板に出て喧嘩してしまったのでしょう。
知り合い(現役の兵士)に横須賀基地所属の兵士達の中にギャングはいるのか?と聞いてみたら、その人の意見はこうでした。
"I don't think they're gang. They're just posers. You know, wannabes."
こういう若くて愚かな兵士達は、高校を卒業してすぐに軍に入隊しています。大学に行くお金もないし、かといって働く場所もない。そんな感じで入隊しているはずです。
だとしたら除隊(特に不名誉除隊)になってアメリカに帰ったところで、軍のように自分を飼ってくれる場所はなく、待っているのは転落だということがなぜわからないのでしょうか。DQNの愚かさは万国共通なのです。
過ちから学習した兵士
私がまだベースで働いていた頃、少し珍しい雰囲気の兵士がいました。外見が際立ってよいとかそういうわけじゃないのに、印象に残る青年でした。その独特の雰囲気の秘密は、軍人には珍しく、彼がわりと都会の出身であったことも関係しているかもしれません。垢ぬけていたってのもあります。だけど彼が漂わせていたものの背景にあったものは、別のものでした。
私が勤務していた施設にちょくちょく来ては、いつも決まったものを飲んで食べていたこの青年をDerekとしましょう。
Derekを見かけなくなって二か月くらい経ったある晩、久しぶりに彼が顔を出しました。
「久しぶりだね。もしかして船に乗って海に出ていたの?」
「いや、俺は陸上勤務だからそういうわけじゃないんだ。ちょっとしばらくおとなしく暮らそうと思っていただけ」
「じゃあここはおとなしく過ごす人間がくる場所じゃないってことか(笑)」
「そういうこと!もう同じ失敗は繰り返したくないからね」
Derekの過ちとは、米軍に入隊してから一度酔っぱらった勢いで喧嘩をして逮捕されたことでした。除隊にはなりませんでしたが、当然のことながらランクは降格し、辛酸をなめたそうです。
徒党を組んで喧嘩していきがっていて逮捕されたDQN達と、一匹狼のDerekを一緒にするのも失礼な話ですが、彼はここでちゃんと学習しました。
逮捕された時の詳細は聞きにくかったので控えましたが、Derekが言ったこの言葉は今でもよく覚えています。
「俺をコントロールできるのは、俺自身だけなんだ。だからまたああいう騒ぎを起こしてしまいそうな環境から自分自身を遠ざけることも、自分にしかできないことなんだ」
Derekは軍からキックアウトされた後の自分の人生を想像して、自分の行動を悔い改めることができたけど、そうじゃなかったDQN達はご愁傷さまです。
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