アメリカで暮らしたことがある方やベースで働いたことがある方は、アメリカ人の(まともな)親が口を酸っぱくして子供に"......, please."を言わせようとしている場面に出くわしたことがある方は多いでしょう。
【例】ファストフードレストランにて
子:(店員に対し)"Can I have a hot dog?"
親:"....please."
子:(・・・ったく面倒くさいなぁ)"Can I have a hot dog, please?"
言い直させる側も楽しくない、言い直す側も楽しくない。子供は親に「pleaseと言いなさい」、と言われるたびに鬱陶しそうにしますよね。だけどその親の忍耐は、必ず実を結びます。
アメリカ人が躾けに使っているシンプルな絵本 - Inside the gateという記事でも書きましたが、pleaseのようにその一言がないだけでぶっきらぼう、あるいは横柄に聞こえてしまうという言葉があります。逆にそれらの言葉があるからコミュニケーションが円滑になるともいえるでしょう。例えば店員に対して「あそこにあるあれ、とってくれる?」という代わりに「上の段にある〇〇をとっていただけますか?」と言えるかどうかって、できてあたりまえの、たいしたことないように聞こえるかもしれませんが、やはり大切なことだなぁと思うことが先日ありました。
本町のセブンイレブンで買い物をしていたら、私の前で会計をしていたのがどぶ板で直引きをしている中国人女性でした。
店員さん:「お箸はご入用ですか?」
中国人女性:「いらない」
このやりとりを聞いていて、日本語においても英語のpleaseに相当するような、言葉尻が柔らかくなるというか、丁寧に聞こえる言葉使いは大切だなと思いました。この中国人女性は来日して優に5年以上経ちますから、日本語できちんと「結構です」や、それがわからないならせめて「いりません」は言えておかしくないはずです。
だけど吐き捨てるように「いらない」とだけ言いました。日本に暮らしたくて暮らしているわけじゃないから、そもそも日本語を覚える気もないし、ましてや相手に不快な思いをさせない言葉使いを心がけようとも思わないでしょう。自分の潜在顧客にはそれなりに丁寧に話しているのかもしれませんけどね。
ベースで働いていた頃、タメ口で話しかけてきたり、お金を渡す時に放り投げるように出す日本人客に時々遭遇し、その度に失礼なやつらだな、と思っていましたが、今思えば彼らはきちんとした躾を受けなかった哀れな人々なのです。
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