旅先でどんなに美しい景色に出会っても、そこに住もうと思うほどの場所ってほとんどありませんよね。皆、帰っていく場所がある。
横須賀で暮らしアメリカ人と接していると、彼らにとって、特に優秀な人達にとって、日本って通過地点でしかないんだなぁと思います。
photo by Striking Photography by Bo Insogna
日本のナイトライフの刺激が色褪せる時
もう数年前になりますが、お父様の扶養家族として横須賀基地に住んでいた、若い黒人の男の子がいました。
彼と接する日本人達は誰もが「あの子さ、自分からは言わないけど、もしかしたらお父さんがすごくランクの高い人なんじゃないの?」とひそひそと噂するほどの優雅さと優しさ、温かさを感じさせる男の子でした。まあだいたい聞かれてもいないのに自分から「俺の親父、キャプテンだから」とは言いだす子はまずいませんよね。
彼はベースの大学(UMUC Asia-University of Maryland) に通っていたのですが、やはりアメリカに戻って勉強したいといって帰ってしまいました。
彼はHonchで結構飲んでいたんですよ。プロの中国人女性達に絡まれるのが怖いから「もう一人では歩かない!」と言っていたのが懐かしい(笑)。
「友達と一緒にチューハイスタンドに行ったんだ!」とか来日したての時は楽しそうにしていました。だけどそういうナイトライフも新鮮さが失われて、飽きてくるんですよね。人生設計が明確な人達には特に。
毎週のようにどぶ板で飲んでいる中年のアメリカ人達から漂う、「人生どん詰まり」感
The Honch(どぶ板通りを中心とする繁華街)で飲む→異性を見つける→寝る→さよならを繰り返す。1ヶ月で飽きる人、1年繰り返しても飽きない人。この生活パターンから脱け出せない人・・・・。
前出の若い黒人の男の子みたいに明確なゴールをもう持っている人は、日本にいる時間そのものがPARTYだったりするんですよね。どこかこう、足が地に着かないというか。だけどゴールにたどり着くためには、いつまでもPARTYをしているわけにもいかない。ずっと住む国ではないな、っていうのがいつも頭の中にある。
It gets old....and I'm not getting any younger.って感じです。これを若いうちに気づけない人が、後から苦労する。
そしていつのまにか自分が「あそこはうんと濃く作ったチューハイを出してくれるから、お金をかけずに酔えるんだ」と来日したてのアメリカ人にチューハイスタンドを教えてあげる立場になり、その教えてあげた人は日本を去り、自分はそのままずっと・・・・。時々なら楽しいけど、もう毎週のようにというのも虚しくなりそうです。
もしかするとどぶ板通りのあの独特の雰囲気を作っているのは、焦燥感や虚しさなのかな・・・。
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いまさらこのブログで紹介するまでもないのですが・・・京急線汐入駅から徒歩一分のチューハイスタンド。アメリカ人達がこう呼ぶのでお店の名前だと思われがちですが、実は「ヒデヨシ商店」という名前のお店です。船がいる間は、セイラー達でにぎわっています。安くすぐに酔えるから。