「日本社会不適合者で、横須賀基地に逃げ込んだ女です」というのは私のツイッターの自己紹介文です。そしてその文のとおり、ベースに逃げ込んで気がついたことがいくつかあります。色々ありますが、まとめて書くと日本の大企業で働くことのメリットとデメリットは、私にとって差し引きゼロだったということです。
辞めてからじゃないとわからないことってたくさんあります。ありがたみなど。だけどベースという特殊な世界に身をおいてみて日本の大企業で働いたことを振り返ってみると、はっきりと浮き彫りになって見えることがありました。
【メリット1】土日休み、賞与・退職金あり
どんなに息苦しい環境でも、8時半~17時半までの我慢。会社を一歩出れば窮屈な会社のことなんてすぐに忘れられるし、週末だってしっかり休めました。オンとオフの切り替えはきちんとできました。ただこれは事務職に就いていた時の話で、大企業といってもサービス業(子供英会話スクール)に従事していた時はなかなかオンとオフの切り替えができず、苦しみました。
◆講師時代の記事:子供英会話講師はもって三年かな、と思う理由 - Inside the gate
【メリット2】社会常識が身につく
大企業じゃなくても、零細企業でも社会常識は身につくでしょう。だけど小さな企業だとしっかりした新人研修がなかったり、社長が超ワンマンだったりして、企業と言うよりは家族のようになってしまいます。その企業独特の文化は企業の規模に関わらず存在しますが、小さな企業の場合はそれが濃くなりがちで、その会社内でしか通用しないルールや常識の中で働くことになります。
社会人経験をある程度積んでからこういう小さな企業で働くのはいいと思います。色々見てきた後ならば「こういう企業もあるんだな」と割り切れるので。だけど社会人デビューがそういう濃厚な小さな世界だと、社会全体という大きな世界で通用するマナーや常識が身につかないということも考えられます。
私が社会人デビューしたのは、大企業の契約社員としてでした。当時はお局様達に色々細かいことを言われるたびに「面倒くさいなぁ・・・・」「細かいなぁ」と思っていましたが、今ではそれら全てに感謝しています。
社会に出たばかりで右も左もわからなかったくせに、随分生意気だった私ですが、いざ自分がお局の立場になってみると、指導もきちんとできないし、注意もうまくできないんですよ。うまくできないというのは、その人に伝わりやすく注意できないということです。うーん、お局様達はすごかったんだなぁ。
【デメリット1】優良企業のイメージ死守の陰にあるものーミス防止のための見せしめ行為
私がベースに勤務する直前まで働いていた大企業の部署では、JRの日勤教育ほどではありませんが、ミス再発防止のために見せしめ行為が行われていました。社員のモチベーションを上げて皆で「ミスを出さないようにしよう!」とするのではなく、「もうこんなことはされたくない」と思わせることや、プレッシャーをかけることでミスを減らすというやり方です。
私は反省したふりにかけては、アカデミー賞主演女優賞級にうまかった上(例:見せしめにされている間いかにも申し訳なさそうにうなだれているんだけど、実は頭の中ではその日の夕ご飯をいかに手早く作るかといったことを考えたり、仕事に関係ないことのイメージトレーニングや妄想をして、自分が見せしめにされている時間をやりすごす)、その場をなんとか耐えて後は引きずらないタイプだったからよかったのですが、引きずるタイプ、気にするタイプの人にはきつかったはずです(私自身にもやはり少しは効きましたよ・・・)。
他の人が数回連続見せしめにあってしまった時のことです。ミスを連発したので自業自得なのですが、私はこのねちねちした陰険なやり方が常々気に入らなかったので、親会社(私は関連会社から出向していました)の社員達との飲み会の席でその人にこう声をかけました。
「ミスしたからって死ぬわけじゃありませんよ」
他人の不幸は蜜の味?「私じゃなくてよかった」という本音を隠せる人は一人もいなかった
狙い通り、その場が凍りつきました。翌日出社してみると、もちろん私の暴言は親会社の社員達の間で広まっていました。その後どうなったかって?「やっぱり外人と結婚してる女は変だよね」とか陰で言って面白がってたんじゃないですかね。自分のことなら陰でなんと言われていてもいいです。お給料さえいただければ♪
でもこの見せしめですが、皆「気にしないほうがいいよ」「今後はお互い気をつけようね」とミスをした人に声をかけつつ、実は「自分じゃなくてよかったぁ・・・・」って思っているんですよ。明日は我が身、とも思いつつね。そういう環境に身を置いていると、やはり時々「馬鹿馬鹿しくてやっていられない!今すぐ辞めたい!」という衝動に駆られるのです。
【デメリット2】後に自分を救ってくれない苦労を積み重ねている間にも歳をとるというリスク
この会社で働いていた時、ミスを出さないように普段から勉強を重ねるわけですが、まっったく興味のない分野のことだったので、覚えようとすると脳みそが拒否するんですよ。週末休みで福利厚生がいいからという理由だけで入ると、こういうことが待ち受けているんですねぇ。とにかく頭に詰め込もうとしても、はじかれる。時間をかけてもまったく定着しないという経験を初めてしました。
そしてある日このままではまずいと感じました。同期達はずっとこの先もこの企業で働いていきたいと思っている人達です。産休もしっかりとれるし、子供が生まれてからも時短で働ける。また子供が急に具合が悪くなっても、比較的休みやすい企業でした。他の社員でもカバーできるような業務内容でしたからね。
とにかく女性には優しい企業ですから、ずっと働いていきたいという人にはよかったでしょう。ミスをして罰を受けても、次につながりますから、働けば働くだけ色んな事例を経験して自分のものになっていきます。勉強すれば勉強するほど、自分が楽になります。
だけど私の場合、夫の仕事の都合で辞めなければいけない時は必ず来ますから、同期達と違って「ずっとこの会社で働いていこう」という気持ちはありませんでした。ですからこうして脳みそが拒否するようなことを勉強し続けている間にも、歳をとっていくだけで、将来的には自分のためにはならないのです。
「このままこの会社でしか役に立たない知識を詰め込むことに時間をかけて、大丈夫なのかな」と、当然のことながら焦るようになりました。
子供英会話スクールで血尿が出るほどストレスを受け止めて働き、そこから学んだことは、後に大きな自信となって私を支えてくれました。
ビジネスマナー、父兄応対、教えるという技術を磨くこと、いい人やってたらとてもじゃないけどノルマなんて達成できないという現実と、要領よく稼ぐことに罪悪感を持ってはいけないということ。
苦労しながらも「これは絶対に後々私を救ってくれる」という確信がありました。だからこそ比べてしまうのです。前出の大企業で働いて身につけたことは、この企業を辞めてしまったら何も役に立たないのです。業務マニュアルを読み込む時間が惜しくなってきました。「事務職ってつくづく潰しが利かないんだな」って思いながら。そして退職を決意しました。
【デメリット3】刺激的な人が少ない
大企業=安定を求めて入社する人が多いからでしょうか。会社帰りに飲んでみたいと思う人が同期以外は一人もいませんでした。ぶっとんでいて面白い人など、探せばいたのかもしれません。でも探す気にならない雰囲気の会社でした。そして大きな企業であるせいか、皆さん手近でおさめようとするんですよ。だから社内の合コンが多いのです(それから社内不倫もね・・・)。
関連記事:(サブブログに飛びます)大企業の安定感と社会的信用は社内恋愛を生み出す - マリア様はお見通し
常に身内(社員)のゴシップを肴に酒を飲んでいるような状態で、合コンの感想など聞いていて気持ち悪かったです。他に話すことがないのかな。つい「狭い世界なんですね」と言ってしまいました。大企業で働くと視野が狭くなるのかなと思うきっかけになりました。
メリットとデメリットを天秤にかけると・・・・体調がすぐれなくなって、差し引きゼロだなと感じました
「ま、割り切って働くか」
そう自分に言い聞かせて働き続けた結果、心がこれ以上受けつけられなくなったものが、体内の他の場所に蓄積されてしまいました。その結果がこれです。
(サブブログに飛びます)ストレスを侮ってはいけない - マリア様はお見通し
体は正直です。ベースに逃げ込んでからは、咳喘息とは無縁!サービス業だったからシフト制で働いていたため、どうしても生活が不規則になりがちで、生理は多少乱れることはありましたけどね。
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