英語が苦手、拒否反応が出る高校生でも「続きが読みたい」と思うようなストーリーなら、英語の物語でも読むことが苦にならず、むしろ楽しいんじゃないかなと思うのです。知りたいと思ったら辞書を引くことも面倒くさくないし、気になった単語は文脈から意味を推測しながらどんどん読み進められるでしょ?
私のおすすめの一冊 The Notebook
男子生徒にはきついと思うんだけど、感情的な生物である女子高生が読んだら心にしみ渡る表現がたくさん出てくるのでおすすめしたい一冊はこれです。当ブログのえらく弁が立つ移民美女が本棚から選んだ「心に残る二冊」 - Inside the gateという記事で二位に選ばれた小説です。
ストーリー
家柄の違いを乗り越えることができずに結ばれなかったノアとアリー。ノアは数年後、戦争から帰ってきて一人で暮らしながら、アリーの存在を忘れられず、時々苦しめられていました。
そしてアリーも、友人達が羨む完璧な青年(もちろんアリーにとって遜色のない男性、と両親が認める階級出身)と婚約が決まっていたにも関わらず、ある日母親に見せられた記事をきっかけに、ノアとの思い出に引き寄せられるように、ノアに会いにいってしまうのです。
アリーはすべてを捨ててノアと生きる人生を選ぶのでしょうか?
というベタなラブストーリー。展開が予想しやすいから読みやすい。
良書を堪能しつつ「文法・基礎はやはり大切だ」と再認識するきっかけになる
ノースキャロライナ州の情景の美しさや、登場人物達の心の動きを描写する英語が比較的平易なせいか、どんどん引き込まれていきます。そして気がつくと母国語で読書をしている時に感じるような、言葉の力、物語を読むことの楽しさといったシンプルなことの素晴らしさを再発見できます。
また読書をすることによって、既に習った単語、あるいは熟語がすっと入ってきやすくなります。出る単などだと、淡々と単語、熟語として覚えますよね。だけど小説だと文章の一部として出てくるので、リアルなんですよ。「文法の教科書に書いてあったこと」が浮き彫りになって見える感じ。
だから「文法のクラスで学んだことは無駄じゃないんだ!」と実感できるわけです。
例えば:
The words hurt. But again, he thought he heard something in her tone, as if she were saying it to convince herself.
「それらの言葉には傷ついた。だけど再び、彼は彼女の口調の中に、まるで自分自身を説得するためにそれを言っているような何かを聞いた気がした」
という部分ですが、学校の英語の授業では「副詞節 as if....」として習ったものがこういう風に自然な文章で出てくると、ようやく「文法のクラスで習ったものが身についた!」という気がしませんか?あの英語の授業は無駄じゃなかったのねって思える。
◆as if ..... 「まるで....であるかのように」
ALL IN ONE Re-Startをお持ちの方はLesson131「方法・様態の副詞節(as, the way, likeなど)を参照。
例をもう一つ出しましょうか。
Seeing her again brought all those feelings to the surface, and he found it impossible to press them back down.
「彼女に再びあったことで、それらの感情が押し寄せてきて、彼はもはやそれらを押し殺すことが不可能だとわかった」
find it 形容詞(A)+不定詞(B)>>it=不定詞で、「BすることはAだとわかる」という覚え方だとなんだか堅くて具体的なイメージができないし、ここまで読んだ時点で脳が拒否反応を示しませんか?
グラマーの教科書 に出てくる例文もいまいちぴんとこない。文法って面倒だしどうでもよくない?って思ってしまいますよね。だけどこんな文章ならするすると入ってきます。
◆この第五文型については、当ブログでもおすすめしている英語教材・ALL IN ONE Re-StartのLesson 70 「to不定詞の名詞用法(It...toの構文)」を参照。
グラマーの教科書の内容の一部だからしようがなく試験に向けて頭に詰め込んでいた無機質なものが、有機体に変わる瞬間が、このThe Notebookにはたくさん隠れています。
The sky grew darker and the moon rose higher as the evening wore on.
こういうシンプルな情景描写が好きです。
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