【長文です。暇な時に読んでください】
ノンネイティブスピーカーの英語って、どんなに発音がネイティブスピーカーに近い人でも、やはり若干聞き取りづらいところはあると思います。単語にもよるでしょう。対面ですら「ん?」となることもあるのですから、電話越しだとなおさら聞き取りづらい、わかりにくいはずです。
英語での電話応対は、ベースで働いていた頃大好きでした。「あ、かかってきた!今日は何を学習できるのだろう」と思って電話に出ていましたからね。
私はスムーズにやりとりできていた方ですが、それでも時々自分でも「お客さん、私の英語だと聞き取りにくいしわかりにくいだろうなぁ・・・」と思うことはありました。だけどどこをどう直したらもっとクリアになるのかわからなかったのです。韓国人客を接客するまでは。
濁点を発音しているつもりの韓国人とのやりとりで気がついたこと
ある日いつものように接客していると、若い韓国人の女の子二人連れがやってきました。そして彼女達は日本語でオーダーしました。
韓国人客:「とり下さい」
私:(とり下さいって、珍しいオーダーだな)「鶏でしたら揚げた鶏とグリルした鶏がございますが、どちらになさいますか?」
(しばし沈黙が流れる)
意思の疎通ができていないことに、私も女の子達も気づいていました。そしてよくよく聞いてみると、彼女達が買いたかったのはdrink=ドリンクでした。
彼女達は「ドリンク下さい」と、drinkを日本語風に読んでくれていたのです。だけど彼女達の発音ではドの濁点(てんてん)がほとんど聞こえませんでした。
この間抜けなやりとりを通して「自分の母国語にまったく同じ音が存在しない場合、それをはっきりと発音することは難しい」ということを改めて知りました。
子音の発音に気をつけるようになった
あの韓国人の女の子達は、きっと濁点をきちんと発音したつもりでいるのです。だけど実際にはクリアな音になって出てきていない。日本語における濁点のつく文字の音は、おそらく韓国語には同じようなものが存在しない音なのでしょう。
これをきっかけに「きっと私の英語もネイティブスピーカーにとってはそういう感じなんだろうな」と思うようになり、電話で話す時は子音の発音に気をつけるようになりました。日本語に存在しない音をきちんと出そう、と。
母音の優先順位はこの時下でした。なぜなら濁る音とそうでない音の区別の方を先にきちんとしようと思ったからです。
電話で話す時ほどではありませんが、目の前にいる人と話す時も以前より少し気をつけるようになりましたが、それほど力は入れませんでした。理由は後述します。
子音の発音のどういう点に気をつけたかというと、唇と舌をちゃんと使うこと、この1点です。
例としてB,P D,T G,K S,Z をできる限りクリアに発音してみる
遅番を終え、帰り道に人通りが少ない場合、B/P, D/T, G/K, S/Z, 主にこの8つとM,Nを単独で発音しながら歩きました。
ブ プ ドゥ トゥ グ ク ス ズ・・・・と一人で言いながらとぼとぼ歩くのですから、はたから見たらただの危ない人です。だけどこうやって発音しているうちに、やはり日本語を母国語とする自分は、唇の使い方、舌のポジショニングが、日本語を話す場合と同じまま英語を話しているということがよくわかりました。
この記事を読んでいるあなたはどうでしょうか。
試しにぶどうって言ってみてください。
次にできる限り本来の発音に忠実に、bookと言ってみてください。
このぶとbの違いを作っているのが唇。
ぶどうのぶを発音する時、唇のどこを使って発音していますか?内側の湿っているあたりを軽く合わせて発音しているだけじゃありませんか?唇そのものはそんなに使っていないはずです。
ではbookのbはどうでしょう。上下の唇を一瞬ちゃんとぎゅっと合わせて強めにブッと発音していませんか?ぶどうのぶと同じように発音すると、bが柔らかく聴こえてしまうはずです。
M/Nの発音 "ン"の存在を忘れ去ってはっきり発音する
鼻の奥の方で発音してそのまま鼻の穴から音を逃すような、日本語の"ン"の音を忘れ去ると、M/Nの音がはっきりと出るようになります。
Mは唇で
Nは舌と口の中の天井(っていうの?)
を使って出す音。
Nのよい例があります。下の動画でブルーのドレスを着ている女性が
- I'm fine.
- She's the one making a scene.
というのを聴いてみてください。
- アイム ファイヌ
- シーズ ザ ワヌ メイキング ア スィーヌ.
と聞こえませんか?ンじゃなくてヌ。消えゆくヌ=小さいヌという感じ。鼻から抜けていくような音じゃなくて、ちゃんと舌で口の中の天井触ってますよ、っていう音。
以上ですが、B/P, D/T, G/K, S/Z,M/Nだけでも日本語に存在する類似した音を忘れて、英語におけるアルファベットの音をクリアに出そうと気をつけるだけで、かなり電話応対はスムーズにできるようになりますし、ちょっと速く話してリンキングしても聞き取りやすい英語のままです。
英語の発音における「リエゾン」(リンキング)の特徴と主なパターン | オンライン英会話コラム
対面して話す時は、子音の発音矯正を意識しすぎないようにしている理由
ブ プ ドゥ トゥ グ ク ス ズ といった音は、はっきり発音しようとすると、うっかり唾が飛んでしまうことがあります。明石家さんまさんが話しながら唾を飛ばしまくるのとはまたちょっと違うし、そんなにしょっちゅうではないのですが、飛んでしまいます。電話口なら唾が飛んでも相手にわかりませんが、対面だときついじゃないですか。
だからこの発音矯正は電話の時だけにしていました。それから夜道。
発音に関する小話
私がアメリカの企業で働いていた時のことです。
誰もいないオフィスに一番のりで出社して、PCを立ち上げてコーヒーの用意をしました。
スタッフ全員で使っていたコーヒーメーカーがあり、いつものようにコーヒー豆は13杯入れたのです。そしてボスが出勤してきて一杯目のコーヒーを口にした瞬間"Who made the coffee?!「(今朝)コーヒーを作ったのは誰だー!」というではありませんか。何か味がおかしいらしいです。
私:"I did."
ボス:"How many scoops of coffee did you put in?"
私:"Thirteen scoops."
ボス:"What? Turkey soup?!"
目が覚めました。
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