私がベースで働いていた時に経験したことで、勉強になったなぁと思ったことの一つが、母国語が異なる人達をトレーニングしたことです。
トレイニーはフィリピン人やアメリカ人、欧州諸国から来た人達ですが、トレーニングはほとんどの場合英語で行われました。フィリピン人の人達は日本語がわかる人もたくさんいたので、日本語も使えました。
私が働いていたところにはきちんとしたマニュアルがなかったため、こういう風にトレーニングしていこうというプランは自分で立てて、翌日トレーニングする項目に関しては、より簡潔な表現をあらかじめチェックしておきました。
スポットごとに教えるのは時間の無駄で、○時までにここまで完了していればよいから、というように大まかなタイムテーブルを説明してから詳細を伝えていくと、教えられる側もわかりやすいようでした。
このように自分がよく知っていることは英語でも説明しやすいけれど、自分が知らないことというのは、事前に準備をしても、相手に伝わりやすい英語で話すことはできないものです。
- 作者: 杉浦洋一,ジョン・K ギレスピー,John K. Gillespie
- 出版社/メーカー: ナツメ社
- 発売日: 2004/07
- メディア: 単行本
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例えばこの本ですが、日本の風土、伝統芸能、季節の行事といったカテゴリー別に別れている事典でとても素晴らしいものなのですが、私は海外からゲストが来た時にこれを参考に説明しようと思っても、外国人達をトレーニングした時に見たような「わかった!」という表情を見ることはついにありませんでした。相手の心に刺さる伝え方、相手の興味や理解が深まるような伝え方ができなかったのです。なぜなら私は日本のことに関してあまりにも無知だからです。
風土はまあいいとしましょう。だけど伝統芸能や季節の行事に関してはまったくだめで、例えばひな祭りはちらし寿司を食べるものでー♪くらいにしか考えておらず、なんでそういう風に祝うのか、とか能や狂言、歌舞伎の歴史など「あー!もう私に聞かないでー!」と思ってしまうのです。
じゃあこの事典を読みこんで丸暗記すればいいじゃないかって?
私はそれは意味がないと思います。そんなことをした人間が海外からの来訪者に日本の伝統芸能の素晴らしさを伝えきれると思いますか?伝統芸能ってそんなものじゃない。
机上の空論なんて人の心をうちません。事典を読み込んで覚えた正しい英語よりも、自分で観にいって、目で、耳で、心で感じたことをシンプルな英語で伝える。この方がよっぽどリアルです。
ただこの事典そのものはとても素晴らしいので、日本の歴史や伝統芸能に詳しい方が読まれたらすっと入ってくると思いますし、「この素晴らしさを伝えたいけど、どう伝えたらよいのだろう?」という点をクリアにしてくれると思います。
◆日本文化を英語で紹介する事典
夏休みにちょっと短期留学してきまーすっていうのも貴重な経験だと思うけど、同じ金額を使って日本の伝統芸能に触れたり、日本の歴史を探る旅に出るのもいいですよ!
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