Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

Captain Crozierの航海は続く

現在グアムに寄港中で、サンディエゴを母港とするニミッツ級空母、U.S.S.  Theodore RooseveltのCrozier艦長が更迭されました。艦長が危機的な現状について記し、支援を求めた手紙を米海軍の指揮系統だけでなく、外部も宛先に含んだ判断がプロフェッショナルではないということと(外部へのe-mailは保護されていないため何かとリスクが大きい)、また手紙の内容が「まるで政府や米海軍が空母上での感染を阻止するためにやるべきことをやっていない印象を与えたため」ということです。

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私もツイッターでグアム在住の方とこのことに関して最初のやりとりをしたのが3月28日で、その時点で既に空母内の感染者が3人から30人以上に増えていました。そして先月末である31日には100人を超えていました。
ここから先は筆者の推測ですが、Crozier艦長は当初、しかるべき手段(=米海軍の指揮系統を通じて行うこと)で支援を求めていたはずです。そしてそれなりの支援が早急に行われていれば、感染がここまで広がることはなかったのに、最低限の指示があったのみで必要な支援が行われなかった。だから艦長はもうやむをえず外部を巻き込み(リーク)→メディアに広まる→米海軍幹部の面目丸つぶれだけど、メディアに出てしまったことにより尻に火がついて海軍は支援を急いで行う→今ここ。
Crozier艦長がもしも手紙をリークせずあのまま支援を待っていたら、感染者は500人、1000人と増え、結局更迭されていたのではないでしょうか。支援要請のe-mailの宛先に外部を含んだ時点で、それは同じように宛先に含まれていた米海軍幹部の目に触れ、またそれがどういうことになるのか、Crozier艦長は覚悟していたでしょう。
どうせ更迭されるのであれば少しでも感染者が少ないうちに=船員達を道連れにしなくて済むよう、自分のキャリアを犠牲に、ということだったのではないでしょうか。このクラスター発生が母港にいる間に起こったとしても災難だったのに、よりによって定期展開に出ている最中に起ったのはもう泣きっ面に蜂でした。
尚、NBCニュースによりますと、Crozier艦長は今後も米海軍にとどまり、Captainのランクもそのまま維持されるそうです。ほっ。まだまだCaptain Crozierの航海は続きます。舵取りもさせてもらえるとよいですね。

www.nbcnews.com



"Captain Crozier!"と呼び続ける船員達を後にしRooseveltを去るCaptain Crozierの姿。背負ってきたものの大きさを感じさせる背中が印象的なのと、その背中を船員達が見つめる中去っていく寂しさがあります。最後に振り返り、船員達に手を振って車に乗るところなんてもうまるでハリウッド映画を見ているようです。


Captain Crozier、横須賀に戻ってこないかしら。