男とお金は後からついてくる。追いかけてはいけない。追いかけさせるもの!
あるフィリピン人ウェイトレスを見ていると、そんな言葉を思い出してしまうのです。
シェイラというフィリピン人ウェイトレスは、charge tip(クレジットカードで支払う際に、飲食代金に加算して支払われる形のチップ)の額も、テーブルに残されたtipも、施設で1,2を争う従業員でした。
そんなシェイラがやっていたこととはいったいどんなことなのでしょうか?
「滑るかも・・・・」などとまったく気にしない。お客を笑わせるためではなく、自分で言って自分で笑っている
へらへらしていてちっともがつがつしていないシェイラ。
彼女の実年齢を聞くと誰もが驚くほど屈託のない笑顔が魅力的で、とにかく誰とでもうまくやれる女の子でした。ひまわりのようにぱーっと明るく、だけど騒がしいわけではない朗らかな女の子。もちろん冗談やシモネタも大好き。
例えば、お客の中には米兵ではなく、コントラクターと呼ばれる立場の人々がいるのですが、その人達の中にはホテルニューヨコスカに滞在している方々も大勢います。奥さんをアメリカに残して単身来日している方も多いため、一人で来店されるお客様も当然多くなります。
あるコントラクターのお客様が一人で来店し、ホテルニューヨコスカの部屋番号が書かれたドリンククーポンをテーブルに忘れていかれたことがありました。
シェイラはこのお客様が次に再び一人で来店した際にそのことを覚えていてこういいました。
「前回来店された際に、ドリンククーポンをお忘れになりましたよね。ホテル・ニューヨコスカの部屋番号が書かれていたので、思い切ってお部屋まで届けようと思いましたがやめました。あはははは!」
そのお客様はシェイラのひまわりのように明るい笑顔と笑い方につられて、一緒に笑っていました。そしてテーブルに残すはずのチップを、その日はシェイラに手渡ししたのです。チップの金額は飲食代金のなんと50%(通常チップは代金の15%~20%)。
「ありがとう。前回ここに来た時も君が笑わせてくれた。覚えているかな。このお店に来るのが楽しみだよ」
そういわれたシェイラは、前回自分がなにげなくいった冗談が楽しんでもらえていたことを知り、驚きました。
お一人様って気楽だけど、やっぱり一日一笑したいじゃないですか。食事だっていっそう美味しくなる。そんなところに「笑わせよう」という気負いがまったくないシェイラみたいなへらへらしたウェイトレスがやってきて、勝手に冗談を言って勝手に笑って風のように去って行くわけです。そりゃ当然チップだっていっぱいあげたくなりますよね。
また、このドリンククーポンを忘れていかれたアメリカ人男性(コントラクター)のことを、シェイラはこんな風に言っていました。
「マリアさん、さっきのお客さん覚えてる?かっこよかったよねぇ。50歳は過ぎてると思うんだけど、素敵だった。デートに誘われたらボーイフレンドと別れてあのおじいちゃんとのデートにいっちゃうかも!おじいちゃんなのにいい匂いがした」
確かに私もそのお客様は素敵だなぁと思いました。若い頃も相当格好良かったと思うのですが、歳をとって増した魅力もあるのでしょうね。こういう点で男性は得だよなぁ。女性は若い方が絶対に綺麗ですもの。
シェイラ登場記事:続・フィリピン人は本当にトライリンガルが多いの?
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