Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

こういう人は日系企業じゃ出世しないだろうけど、大好きでした


まだベースで働いていた頃、クックの一人にこう聞かれました。

「ねえマリアさん、メンヘラアメリカ人Dさんってさ、いつもマリアさんのまわりにひっついてなんか長々と話してるじゃん。何を喋ってるの?女の人はお喋り好きってのはわかるけど、あれはいくらなんでも喋りすぎでしょ。ってかマリアさんの顔を見て自分は喋りすぎって気がつかないのかなぁ」


ええ、喋りすぎですよ。

しかも内容は聞いていて楽しいものとは程遠いものでしたから、耳から血が出そうでした。でも仕事中だから彼女の相手が務まったともいえます。お給料発生してますからね。だから仕事が終わったらいっさいつきあわない!と決めていました。Dさん相手の無料カウンセラーは荷が重過ぎます。
だけど彼女は、仕事中だけだと話したりないから「飲みに行かない?」と誘ってきます。

http://www.flickr.com/photos/36093266@N06/6508332265

photo by Ari Helminen

やんわり断ってもわかってもらえない私。正直に、誠実に断る男性従業員

そんな時私は"I only have 1,000 yen on me."と言いわけして逃げ切ろうとするのです。
一緒に飲んでいて楽しい人達、以前から飲んでみたいと思っていた人達に誘われたら、ATMでおろしてでも飲み会に参加しますよ。メンヘラアメリカンDさんにも、そういうことが理解できるだろうと思っていたんですよ。
要するに「お金がないから飲みに行かない」というのは「あなたとは行きたくない」を意味しているのだということを。
だけどDさんには通じなかったらしく"That's ok. I'll buy you drinks."っていうんですよね。いやぁ~すみませんがおごってもらってもあなたとは嫌なの。時間は有限ですよ。

だけど私が大好きだった日本人男性従業員の小松さん(仮名)は、私みたいな婉曲的な言い方はしませんでした。小松さんは異性としてではなく、人間として大好きだった人です。日系企業じゃぜーったい出世しなさそうなタイプでした。

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小松さんは人気者でしたから、当然変な従業員にも好かれるわけです。
あるあやしい男性従業員が小松さんに「今度飲みに行きましょうよー」としつこく声をかけていました。小松さんと飲みに行ったら楽しいだろうなっていうのは、誰でも感じていたことですからね。
すると小松さん、はっきりとこういいました。
「ごめんな。俺、お酒を飲む時は楽しみたいんだ。だから『つきあいだから』っていう理由では飲まないんだ。今の俺とお前の関係だと、飲みに行ってまで話したいこととかないだろ?やめておこうよ」
これを聞いた時、私もこれからはDさんに誘われたら正直に「お給料が発生している間はあなたの話を聞くことはできるけど、お金がもらえない時間帯には聞きたくない」とはっきり言ってしまおうかな、と感化されてしまいました。

人間は「飲んでもらう人」から「飲んでみたい人」に変われるのか

そしてこの怪しい男性従業員ですが、小松さんと一緒に飲める日を夢見て、彼に気に入られるよう行動に移し始めました。どういう行動かというと、おすすめの成人雑誌やアダルトビデオを献上するようになったのです・・・。
そんなものもらってもまったく嬉しくない小松さんは、それをその場でちゃんとつき返していました。
このあやしい男性従業員には一生かかってもわからないでしょう。そんなことをやっても小松さんと飲んでもらえる日はやってこないということ。そして大切なのは「小松さんが飲んでみたいと思うような人間」になることだということを。
ただそういう人間になるためにする努力って実るのかなぁっていうことです。本を100冊読みましたから、僕は以前より魅力的な人間になりました、っていうのとは違うでしょう?
転んで起き上がって、切磋琢磨して・・・痛い思いをして磨かれた部分の輝きって、努力だけではどうにもならないじゃないですか。それからユーモアのセンスや人間的な面白さは、これも努力だけじゃどうにもならないものがあると思います。
女子会などで、ただでさえちっちゃいデザートを20口でちびちび食べるような女の子に、話していて楽しい人がいると思えませんもの。生まれ持ったものも関係していると思います。


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