photo by Theophilus Photography
画像はflickrからお借りしているものであくまでもイメージ画像です。本記事に登場する退役軍人とは何の関係もありません。
Henryさんという退役軍人の方から聞いた話です。
「僕がドイツに駐屯していた時の話だ。もう大昔の話だね。
その時ドイツ人女性と一緒に暮らしていた。僕にはもったいないような素敵な女性だった。心の優しい人でね・・・・。
だけど僕はベトナム戦争で戦いたいと思うようになり、志願した。そしてベトナムに向けて旅立つことになったその日、僕はこっそり家を出たんだ。彼女には何も伝えず、挨拶もせずね。
とてもよくしてくれた女性にひどいと思うんだろう?彼女はいつものように僕の帰りを待っていても、もう二度と帰ってこなかったってことなのだから。
ああ、僕はa**holeだった。若さからくる愚かさではなく、ただ愚かだった。当時僕はまだ若く、一人の女性と落ち着こうという気もなく、ベトナム戦争が正義だと信じていた。
だからちょうどいい機会だと思って黙ってドイツを離れた。だけどあれから何十年も経った、孫もいて幸せな今、ふと自分のしたことの冷酷さに心が痛むことがあるんだ。
君は今彼女が幸せにしていると思う?フェイスブックで探してみようにも、この歳じゃアカウントを開く気にもなれないし、ドイツの新聞に広告を載せようかとも思ったけど、その広告を仮に彼女が見たとして、連絡してきてくれると思うかい?」
彼女はきっと幸せにしていると思いますよ。
広告を見たら連絡してきてくれるかどうかって?
私ならします。
もう大昔に終わったことだからどうでもいいことですけど、それでも元気でやっているよ、ということは知って欲しいということと、罪悪感から解放されてほしい。
思い出話に花が咲くということはないでしょう。だけどかけがえのない時を過ごした人ですよ。自分を深く傷つけた男であることには変わりないけど、そういうことを乗り越えてきた人生も悪くはない。