米軍基地の正職員は安定しているのか - Inside the gate という記事で、IHAと呼ばれる正職員ももはや終身雇用が保証されておらず、人間関係のトラブルにおいては3ストライクでアウトと書きましたが、それはなさそうです。
なぜなら従業員関係のトラブルは100%一方のみに非があると証明することが難しいからでしょう。私の推測ですよ。
モンスター従業員
私が昔働いていた施設には、2ストライクを喰らっていたIHAの職員がいました。
そして3ストライク目を喰らいましたが、解雇どころか異動にもなりませんでした。
この問題のある女性職員を野沢さんとしましょう。
私は野沢さんと仕事でかかわることはほとんどなかったため、そのモンスターぶりを知ることはほとんどなかったのですが、彼女と一緒に働く人達から「あの人はすごいよ~。あべさんは一緒に働かないからわからないだけでさあ・・・」とよく話には聞いていました。
野沢さんは一人の職員を既に病院送りにしていました。そしてもう二人目の被害者は、自分まで病院送りになる前に、マネジメントに相談したのです。
「野沢さんは僕の上司ではありません。同じ等級の仕事をする同僚です。彼女からお給料をもらっているわけではないから、あそこまで言われる筋合いはありません。彼女はなぜあんな風に横暴なのでしょうか?何様?」と吐露しました。はい、これで野沢さんは2ストライクですね。
この時マネジメント側は野沢さんを呼び出して注意をしました。さすがにその直後は少しおとなしくしていましたが、しばらくするとまた病的におかしい勤務態度に戻ってしまいました。
もはや人格障害ではないか。何か指摘していないと気が済まない性格
どうおかしいのかというと、コントロールフリークともいえますし、「自分以外の人間はすべて間違えている」という考えの人で、とにかく何かいちゃもんをつけないと気が済まない人でした。どんなにきちんと仕事をしていても「それってさぁ・・・」とケチをつけてくる。
「え、でもこれは先週野沢さんにこういう風にするように言われたんですよ」と言っても「そんなこと言っていない」とか、もうサイコですよ。こうして野沢さんに2ストライク目を与えた職員は、自分が病んでしまう前に施設を去っていきました。
それから数年経ったある日(ええ、数年経ってもサイコのままですよ)、フィリピン人女性従業員Nさんが野沢さんのトレーニングを受けることになりました。そしてトレーニングが始まってしばらくすると、Nさんの顔から笑顔が消えました。
Nさんは人の悪口や仕事の愚痴を言わない人でした。その彼女が「本当にあの人のトレーニングがつらいです・・・」ともらし始めたのです。
そしてもう我慢できなくなったNさんが、ある日野沢さんにこういいました。
「もっといい言葉、お願いします」
ものには言い方ってものがありますよね。ちょっとあなたの言い方はきつい。
そういいたかったのだと思います。
シンプルな日本語だからこそ、聞いていて日本人として心に刺さるというか、悲しくなってきました。その場にはアメリカ人のスタッフや日本人男性のスタッフも大勢いました。
周りは見て見ぬふり
私はNさんにこう聞きました。
「ねえ、あなたがそうやってねちねち意地悪されている時、日本人の男達は何をしているの?野沢さんに注意はしてくれないの?」
「注意はしません。ただ私に『気にするな』といいます」
おうおうおうおうおうおう日本男児何やってんだ!!!といいたくなりましたが、やっぱり人間ってベースの中でも外でも事なかれ主義というか、皆巻き込まれたくないんですよ。それはしかたのないことでもあります。誰だって自分の生活が一番大切ですからね。
Nさんはマネジメントに相談しに行きました。はい、これで野沢さんは3ストライク目です。だけどまだ同じ場所で就業しています。やはりIHAはお金のトラブルを起こさない限り、切られないのです。
例えば野沢さんに追い込まれてノイローゼ気味になった従業員が自殺した、という最悪の形で決定打が出て、初めてその嫌がらせをしていた人間を解雇にできるということもあるでしょう。だけど自殺者が出ても、解雇にはならないかもしれません。
なぜなら自 分のせいで誰かが死んだら、もう同じ場所で働き続けようって思うような図太い人は滅多にいないでしょう?住宅ローンが残っているなどの事情があれば、白い 目で見られることに耐えて、働き続けるのでしょうけれど、どんなに幹や根が腐っている人間でも、自分のせいで人が一人死んだら、自主的に退職するでしょう。だか ら雇用している側がわざわざ解雇するまでもないのです。