Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

中絶手術に同行して感じたこと

米軍関係者による医療費の未払いを防ぐために、横須賀市内の病院はこんなことをしている - Inside the gateという記事で軽く触れましたが、私は、諸事情で横須賀海軍病院(USNH)での受診を避けて、日本の病院で受診するアメリカ人達の通訳として何度か付き添ったことがあります(仕事ではなくプライベートで)。
諸事情と言えばだいたい察しがつくと思いますが、中絶手術に同行したのです。そこで感じたことは色々ありますが、大きく分けると三つあります。

  1. 男性も同行すべき
  2. 男性は言葉よりも行動!
  3. 経済的に豊かな国に生まれた人間特有の平和ボケを実感

1.男性も同行すべき

きちんと避妊しようと真剣に考えるきっかけになればよいと思いました。
中絶手術において女性の体にかかる負担の大きさを、私も知るきっかけになったのですが、妊娠6週目くらいの胎児をとりだす準備をするために、体内に何か入れられるのです。それを入れたまま、座って待つこと・・・どのくらいだったでしょうか。強い不快感と違和感を持ちながら過ごすわけですが、周りは幸せそうな妊婦さん達や小さな子供に囲まれているのです。
男性にしてみれば針の筵だと思うけど、私は男性もその場にいるべきだと思いました。そして針に突き刺されて避妊の重要性についてきちんと考えてほしいです。だけどそもそも理性というものがこれっぽっちもない人にこんな話をしても無駄なのでしょうか・・・。

5. pregnancy-test

2.男性は言葉よりも行動

手術の時間になると、看護師さんが私達のところにやってきました。そして取り乱す女性。
" I can't do it. I can't do it."

そういいながら、立ち上がれないのです。それを見て男は何をしているかというと、うろたえるだけ。そして目を背けるのです。


おまえさ、ポエム贈ってなかったっけ?

子供作っちゃおうかって言ったらしいね。あれはやっぱりその場の勢いだけだったのね。

そう言いたいのをぐっとこらえて、私は女性の背中をさすりました。看護師さんも慣れているせいか、視線が温かく、一緒に彼女を支えてくれました。種馬はその場から走り去りたい気分だったことでしょう。これはアメリカ人に限ったことではありませんが、やっぱり男は言葉よりも行動だな、と思いました。

3.経済的に豊かな国に生まれた人間特有の平和ボケを実感

私がアメリカに語学留学していた頃(大ーーーーー昔)、クラスで「中絶手術は合法であるべきか」という議題についてディスカッションする機会がありました。私のクラスには中南米からの生徒が数人いたため、敬虔なカトリック教徒である彼らは、きっと「合法であるべきではない」という意見なのだろうと私は予測しました。
ところが蓋をあけてみると、なんと彼らは全員「合法であるべき」と答えました。なぜだかわかりますか?それは合法になれば中絶手術の技術的な改善が進み、女性の命が危険に晒されることが減るからだそうです。
当時の私はこの意見を聞いても、闇医者に頼んでばれないように処置してもらうことが、どれほどリスキーなことなのか想像できませんでした。
だけど実際に手術に同行して、麻酔が効いている間に手術が済み、そのあとのケアもきちんとしている病院が世界中どこの国にもあるのだと思ったら大間違いだなと、つくづく思いました。