Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

危ない日本国籍保持者がAクラという抜け道をすり抜けてこないことを祈ります 



日本人殺害テロ事件関与か 立命館大元准教授 米軍が拘束(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース

ウェブニュースはすぐにリンクが切れてしまいますので、以下に詳細を転載します。

3年前、バングラデシュで日本人を含む22人が殺害されたテロ事件に関与した疑いのある立命館大学の元准教授の男が、イラク北部でアメリカ軍に身柄を拘束されていることがFNNの取材でわかった。
イラク関係筋によると、日本国籍を持つ立命館大学元准教授のモハマド・サイフラ・オザキ容疑者は現在、イラク北部スレイマニヤにある、アメリカ軍の収容施設で身柄を拘束されているという。
オザキ容疑者は2019年3月、過激派組織「イスラム国」の最後の拠点となったシリア東部のバグズで拘束され、その後、イラクに移送されていた。 アメリカ軍は、オザキ容疑者をイスラム国戦闘員の中でも中枢に近い「重要人物」として尋問しているとみられ、今後は、その身柄の取り扱いが焦点となる。

このオザキ容疑者ですが、日本人女性と結婚し、日本国籍を取得したのはおそらくその後だと思われます。このニュースを読んで私が真っ先に思い浮かべたのは横須賀基地のクラブ・アライアンス(通称Aクラ)。
Aクラは横須賀基地のメインゲートを通ってすぐ左にある在日米軍の福利厚生施設()です。

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過去に当ブログでも書いたように、このクラブに限っては毎週木・金・土曜日18時になると日本人専用のドアから一般客も入れます。
メインゲートを通過するよりもうんと楽に米軍基地に入れるということになります。ただしこの「手続きが楽」なところが私は心配なのです。

メインゲートを通過するための手続き

エスコート権のある人(将兵、SOFA Sponsorを持っている人、あるいは自衛隊員)に入れてもらい、ゲート前のパスオフィスでワンデーパスを発行してもらいます。必要書類を記入し写真付き身分証明書を提示して、パスの発行を待ちます。おそらくこの待っている間にオフィスでは色々調べているのでしょう(危険人物ではないか、前科の有無等)。
またベースに入ることが許可されていない国が載ったリストがあり、その国で生まれた人であれば仮に日本国籍を取得して国籍ロンダリングをしてもここで止められる可能性があります。詳しくはわかりませんが、多分パスは発行されないでしょう。
オザキ容疑者はバングラデシュと日本の二つの国籍を持っていましたが、バングラデシュ人はここでフィルターにかけられますから、ベースには入れません。テロ対策の一つです。

日本人がAクラのドアを通過するための手続き

エスコート兼のある人(将兵、SOFA Sponsorを持っている人、自衛隊員、あるいは日本人基地従業員)が簡素な台帳のようなものに名前を記入し、エスコートされる側が写真付き身分証明書を提示して日本国籍を所有していることが証明できれば「はい、Ok!」。パス不要ゆえにフィルターが甘い


ということはもしオザキ容疑者がAクラに入ろうとしたらどうなっていたのでしょうか?
オザキ容疑者が米海軍の将兵やSOFA Sponsorを持つ人間とつながりがあるとは思えませんから、彼らにエスコートしてもらえる可能性は低いといえます。ただしAクラのドアの場合、太字で強調したように日本人基地従業員もエスコート権がありますから、この基地従業員がオザキにまんまと騙されて仲良くなってしまったらのこのこ連れてくる可能性はあります。
問題はこの先です。クラブ側としては日本国籍が証明できる身分証明書があれば誰でもウェルカムなわけですから、入れざるを得ないでしょう。これ、怖くないですか?
ここでオザキの入館を拒否して「日本国籍を持っているのに人種差別だ!」と騒がれて基地に対し抗議されても、司令官としてはゲート通過が許可されないリストに載っている国々で生まれ育った背景を持つ人間の入館を拒否したクラブ側の対応を支持するでしょう。

危ない日本国籍保持者=イスラム過激派が存在する国々の出身者とは限らない

テロを考えた場合、警戒すべき日本国籍保持者は外見だけで判断すべきではないと思います。危ない日本人なんて生粋の日本人にもたくさんいるでしょう。そういう人間をクラブに入れないためにもクラブ側はエスコート権を持つ人間を制限し、信頼しているわけですが、過去にこの日本人専用ドアから入った日本人客がトラブルを起こして、ドアがクローズされる一件がありましたからね。

>>毎週木曜日のラテンナイトががらがらになってしまった理由を作った日本人女性達 - Inside the gate


クラブ・アライアンスだけでなくMWR(Morale Welfare Recreation)各クラブや映画館、ジム、それからボーリングアリーなども将兵や軍属、それから彼らの家族のための娯楽施設です。はしゃぎすぎてきゃーきゃーいったり(特に日本人女性は甲高い声で話す人が多いので)しないように配慮しましょう。