Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

ミリタリーユニフォームは一粒で三度美味しい

 

ミリタリーユニフォームは「盛ってくれる」アイテムだと思います。その人を三割り増しで魅力的に見せてくれる。
米軍のユニフォームだけでなく、例えば自衛隊のお偉いさん達のあのぱりっ、びしっとしたユニフォームや、教育隊のセーラー服にも魅力を感じます。だけど休日に私服姿の彼らと近所のスーパーですれ違ったとしても、おそらく気がつかないでしょう。そのくらいユニフォームの威力はすごいってことです。

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photo by U.S. Pacific Fleet

だけどユニフォームの本当の威力が発揮されるのは、それを脱いだ時ですよ。ベッドの中でどうのこうのという話ではありません。
私がまだベースで勤務していた時の話です。私が勤務していた施設の常連客の中にとてもキュートな兵士がいました。必ず日本語で挨拶をしてくる人で、日本語を勉強しているとのことでした。
彼のユニフォーム姿しか見たことがなかった私ですが、ある晩彼がスーツで現れたのです。若い米兵の男の子達のスーツ姿は、どうしても頑張りすぎているところがあるし、それがまた可愛いのかもしれませんが、この彼はそういうところがありませんでした。
しかもスーツだけでなくその下に着ていたドレスシャツも、ちょっと他の男の子達と違って垢抜けていたんですね。彼らくらいのランクだとお給料もたかが知れていますから、そんなに高いものは着ていないはずなのに、とても素敵だった。ミリタリーユニフォーム姿とのギャップっておいしいものですね。

遅い時間帯に一人でやってきたその男性は、お気に入りのジャンクフードを頼んでいました。そして「今日は 渋谷に 行ってきました」とフルセンテンスを日本語で言い切りました。(よく頑張った!)
そしてそのジャンクフードを受け取るとテーブルにつきました。そして背中を丸めてそのジャンクフードを口の中にかきこむように食べ始めました。

ユニフォームを着て背筋を伸ばして立っているしゅっとした姿しか目にしたことがなかった私は、ついその姿に見入ってしまいました。私の想像ですが、彼はデートの後にこの施設に立ち寄ったのでしょう。そして彼はデートのためにおしゃれをして、渋谷に遊びに行って、素敵なレストランに女の子を連れて行ったと思うのです。
そのレストランで美しく盛り付けられた料理を食べながら、必死で女の子を楽しませようと会話のネタを探し、映画なんか見た後に品川から京急に乗って横須賀まで戻ってきて、いつものお店で「やっとのんびりと好きなものが食べられる!」とリラックスしていたのではないでしょうか。
彼女に見せていた「かっこいい彼」よりも、ジャンクフードをかきこんでいる彼の方がキュートに見えました。

きっとデートした相手の女の子は、まだ彼のユニフォーム姿を見たことがありません。自分をデートで楽しませてくれる私服姿の彼しか知らないのです。だからユニフォーム姿の彼を見たら、私服姿とのギャップに惚れ直すでしょう

そしてdinner & movieというトラディショナルなデートだけでなく、彼のお財布にとって優しい、そして二人が飾ることなくもっとリラックスして、それこそ一緒に大きな口を開けてハンバーガーを食べるようなデートをするようになったら、「かっこいい彼」の素顔が見えるようになる。

男と女はここからが大切ですね。ご馳走してもらって映画を見て楽しかったね~と、恋人ごっこをし続けたいだけの女の子のメンテナンスに疲れた男が逃げるか・・・あるいはお互いの素顔を見た後にデートごっこを「人間関係」に発展させられるか。相手次第ですな。

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