Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

ベースの日本人村の厄介なところ 謎ルールと英語力

ベースで実際に働いて感じたことなのですが、アメリカ人やフィリピン人にも色々あるとはいえ、日本人特有の面倒臭さと陰湿さってあるんですよね。だからせっかく「日本の中のアメリカ」で働こうと思ってきたのに、じめじめした日本人村に入ってしまって苦しみたくないものですが、その日本人村の煩わしいところを言語化できずにいた私がようやく答えにたどり着きました。

謎ルール

その答えが謎ルール by ホリエモン。彼の大学生時代のバイトの経験を通じてお話しています。

05:20あたりからその謎ルールについて聞けるのですが、要約すると「どう考えても合理的じゃないルール」のこと。
「え?なんでそんなことするの?紙も労力も時間も無駄じゃない?もっと効率的なやり方があるのに」
ええ、あるんですよ!だけどどう考えても合理的ではないルールを貫く。それが謎ルール。これ、アメリカ人従業員達から見るとほんっと謎らしいです。フィリピン人も日本人に比べたらかなり合理的だけど、彼らは彼らでまた面倒くさい。
ルールを廃止あるいは改正すれば皆の仕事も楽になるし、楽になれば他のプロジェクトにその力を投入することができる。だけどあえてその謎ルールを維持しながら皆で不要な苦労をするやり方を選び、残業をする。定時で帰ると白い目で見られる(かつて私も日系企業で働いていた頃は白い目で見られました→日本を代表するような大企業で働いて驚いたこと - Inside the gate)。
そして堀江さんはこの謎ルール簡単に破ってしまった。バイト先のおっさんはキレたけど喧嘩両成敗で、堀江さんもおっさんも先生に叱られて、それ以来おっさんは堀江さんにからんでこなくなったのです。
私は「とりあえずキレろ!」と提案しているわけではありませんし(ただし普段穏やかな人がキレると問題の深刻さは伝わりやすいと思う)、やはりどの国の人間と働こうと長い物には巻かれていた方が仕事がやりやすいというのはあります。でもやはり最初が肝心だなと私は思いました。そしてこの謎ルールを横須賀基地にあてはめてみると、それを押し付けてくるエクセレントなブロークンイングリッシュを駆使する古参従業員がやりがちなんですよね。シンプルなことをあえて複雑にして処理方法を必要以上に煩雑にすることで、新しく入ってきた人を抑えつけることができるから。

処理方法が煩雑であれば、自分がちゃんと教えないと新人はなかなか覚えられませんよね?そうやってなかなか覚えられない状態にして、自分がいつまでたっても優位に立っていたいんじゃないかな。特に事務処理は他のところにいったら全く役に立たない細かいルールがたくさんありますから「え?そんなこともわからないの?もう何度も教えてるよね?」と一度も教えていないことに対しても平気で言ってくる人もいます。
だけどそんなことはベースに限ったことではなく、ベースの外でも同じような謎ルールが根強く残る企業はたくさんある、と思われたでしょう。だけどベースだとやや事情が異なってくるのは、英語力という諸刃の剣が大きく関わってくるから。

英語力は諸刃の剣

ベースで働くには英語力が必要だと思われがちです。確かに職務によっては「ネイティブスピーカーにやらせてほうがいいよね」と思うようなレベルの英語力を求められるものもありますが、実は横須賀基地の事務職はあまり英語ができすぎても、自分の首を絞めてしまいます。例えばコマンドヒル(下の画像。幹部の多くがここで働いているため同じ事務職でもステイタスは高め。ただし給与は等級と勤続年数できまるためコマンドヒルだから他の事務職よりも高くなるということはない)にある某部署の事務職に就いた女性を知っていますが、彼女はそれほど英語は話せません。

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話せない人から見たら「なんかすごいことを話していそう」に聞こえる英語を話す日本人の典型的な英語というのでしょうか。でもその程度でもコマンドヒルで働けるのは、横須賀基地はコネがものをいうから。>>在日米軍基地 とりあえずもぐりこめば希望の職種に就けるのか? - Inside the gate

もちろん(特にコマンドヒルは)自然な英語を話せる日本人従業員もいますが、「文法的にはあっているけど、ネイティブスピーカーが聞いてもなんだかよくわからない不自然な英語」しか話せない人達が集まっているところに、脳内での日→英への変換というプロセスをスキップして、英→英でアウトプットできる人(英語で話す時は英語で考えることができる人)が入ってきたら、やはり他の日本人達は面白くないし、煙たがられますよね。しかも英→英でアウトプットできる人が合理的に考える人だったりすると、謎ルールを疑問に思うでしょう。そこで古参の従業員達が頑なに守り続ける謎ルールをばかばかしいと思いつつ従うふりができれば日本人村の村民達に狙われませんが、ホリエモンのように「おかしいものはおかしい」とはっきり言ってしまう新人は確実に狙われます。英語が流ちょうならばなおさらのことです。
ただし一旦MLCとして採用されてしまえば雇用は、村民達の民意で一MLCを解雇することなどできませんから、何を言われても右から左へと聞き流していればよいのです。

素晴らしい出会いもある横須賀基地ですが、やはり村民達とのつきあいは時に心が削られるものです。だけど仕事中の人間関係の煩わしさはお給料という我慢代をもらえば忘れられますし、人間関係なんてどこに行ってもある程度大変ですから、少し何か言われたくらいで気にしていないでストレス耐性を鍛えたほうが自分のためです。


【横須賀基地で現在働いている方々へ】
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