Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

「俺/私がルールだ」と思い込んでいる古参日本人従業員への対処 

読者の方とメールでやりとりをしていて、これは是非記事でシェアした方がよいと思ったことがありますのでこの記事でシェアしますね。

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(横須賀基地向けに同じようなポスターを作製したら、モデルの7割はフィリピン人にしないと誇大広告になるでしょう・・・もはや日本の中のアメリカじゃないのよーフィリピンなのよー)

まずベースで働き始めると:

  1. 自分の直属の上司は誰なのか(「俺のいうことを聞けよ」と言ってくる自称上司ではなく、正式に指導の責任・権限を与えられているポジションに就いている人)
  2. 直接一緒に働く仲間達の顔と名前(仲間というか敵というか・・・)
  3. 仕事もできないくせに偉そうにしているが、明らかに逆らわない方がよさそうに見えるこの人物は一体誰なのか?
  4. 勤務先の建物の中を把握する(ロッカーはどこ?お手洗いは?喫煙所は?)

こんなことを知るところから始まりますよね。そしてしばらくは大人しく観察しながら、誰とでもうまくやって仕事もやりやすくなるわけですが、本記事で突っ込んでいきたいのは3.の明らかに逆らわない方がよさそうな人間への対応についてです。

 

社会常識がある大人ほど戸惑う「俺/私が絶対だ。常識だ」という古参従業員の態度

勤務開始を控えオリエンテーションや諸手続きのためにベースに訪れたあなたは、ゲートで待ち合わせた人(ほとんどの場合あなたのスーパーバイザーになる人です)に、やや緊張しながら「はじめまして」と挨拶をします。
待ち合わせた人がアメリカ人の場合は挨拶をして、世間話をしリラックスさせてくれる人が多いでしょう。だけどなぜかこれが古参の日本人従業員になると、残念ながらやたらと高圧的に出てきて自分よりも見事な花を咲かせそうな芽を摘んだり、あるいは踏みつぶしたりしたがる人がいます。
本当にその人があなたのスーパーバイザーになる人ならばまだ我慢できますが(それでもひどいとは思います)、仕事の等級も同じで、正式にこの人の方が立場が上ですと認められているわけでもないのに、勤続年数が長いというだけで「俺/私が絶対だ」と思っているのです。確かに経験者から仕事を教わることになりますから、敬意をもって接することは大切ですが、仕事上の関係でしかないんですよ。なのにまるで自分が全能の神のように振る舞う古参の従業員には困ってしまいます。まともなアメリカ人から見るとこれは本当に理解に苦しむそうです。

(あなたにえらそうに指図したり怒鳴ったりする古参従業員を見て)

"Does she/he have an authorization to talk to you like that?"

"Is she/he senior to you?"(このseniorは年齢的なものではなく指揮系統内での序列に関するものです)

こんな風に確認してくれるまともな感覚を持ったアメリカ人の同僚、上司もいます。もちろん見て見ぬふりをするアメリカ人もいます。
ペーパー上ではあなたとその日本人古参従業員の仕事の等級が同じだったとしましょう。ですから本来であれば経験年数だけを笠にそのように怒鳴ったりしてはいけないし(ハラスメントです)、そもそも知性のある大人であればそのような行動はしません。社会常識がちゃんとある大人ほどこういうことをされると「いい大人がいったい何を言っているの?」と戸惑うのは当然でしょう。外の社会を知らないままベースに入った若い子であれば、それを疑うこともなく働き始めると思います。そして数年後には同じように井の中の蛙みたいな人間になってしまう。
だけどベースの外で社会人として、そして大人として多くの人と関わりあいながら働いてきた大人にしてみれば、こういう日本人古参従業員は猿かゴリラから進化しきれなかった生き物を見ているような気分にさせられます。そんな風に戸惑っているあなたに向かって「おまえがどんなすごい企業で働いてきたかとかここでは関係ないからな。俺が常識だ!/私がルールよ!」と思い知らせようとする愚かな人達は動物園にいてほしいものです。

弱い犬ほどよく吠える

筆者の想像ではありますが、もしかするとこういう風に高圧的に出てくる日本人(あるいはフィリピン人従業員)は、あなたの履歴書や職務経歴書を見た人=面接した人ではありませんか?それを見てあなたを脅威に感じている可能性もあります。人を選ばず誰に対しても高圧的な輩も大勢いますが、人を選んでやっている古参従業員は確実にいます。例えばあなたの学歴・職歴が自分のそれよりも輝かしいという理由で・・・。

ではあなたはこの日本人古参従業員の脅威にはならない、控えめな人間であると証明し安心させることはできるのでしょうか?それは難しいでしょう。なぜなら脅威に感じるかどうかというのは、あなたがコントロールできるものではなく本人の問題だからです。あなたがただ「はい、はい」ということを聞いて控えめにしていれば相手は満足するのでしょうか?
例えばあなたが実際に勤務を開始して「控えめにしなくちゃ」と思っても、英語の発音がよかったり使う表現がネイティブっぽいというのはどうなるのでしょうか。自分は別に自慢しているつもりはなくて相手はそう受け止めてくれるとは限りません。だけどそれはどうしようもないですよね。へりくだりたいならばカタカナ英語を話せと言われてもできないでしょう?

なぜこのようなアホな猛獣が育つのか

理由は二つあると筆者は考えます。
一つ目はベースは年功序列制が根強く残っているため、組織内における日本人同士の上下関係がアメリカ人のそれに比べて複雑だから。
一緒に働くだけの関係なのに、仕事をちゃんとして帰宅する→そしてお給料をもらう→よかったね、というシンプルなことを、あえて複雑にしたがる。嫌がらせを楽しむ。自分の契約書に書いてあることだけを守って働いていればいいのですが、なぜか日本人はそれができないし、合理主義のアメリカ人達から見たらそれが不思議でしかたがないのです。だからこそ新しく入ってきた人が右も左もわからぬうちを狙って、自分がボスだという印象を与えたいのでしょう(ため息)。

二つ目は日本が訴訟社会ではないから。
訴訟社会アメリカだと、大人が集まって働く組織の中で日本ほど陰湿な嫌がらせやいじめは見受けられません(全くないとは言いきれません)。なぜなら皆訴えられないようにびくびくしているから。ですから表立ってセクシストな発言をする男性職員も少ないです。例えば日本だったら今でも男性職員が堂々と電話で「派遣なんだけどさーなるべく若い子お願いね!」と大声で発注していても左遷されたりしませんよね。でもアメリカではアウトですし、ある程度きちんとした教育を受けたアメリカ人男性であればそのようなみっともないことはしません。
そういうわけでアメリカ人がハラスメントをするのであれば、自分の手は汚さずに相手を陥れるとかそんな感じでしょうか。

ハラスメントは様子を見ながら必ずメモに残す!(★日時・場所の記録も必須★)

ここから先は新人さん以外に向けても書いています。
猛獣のいる職場では面従腹背(これ大事)で大人しくしながら、嫌がらせに就いてはメモをしっかりとりましょう。

Note


こういう猛獣達が大人しくなるマジックワードがHR(人事部)です。ただ多くの人達はHRには申し立てるまではいかず、ただ我慢している、割り切っているのが現実なので、この項目はあまり有益な情報ではないかもしれませんね。
舐められ続けていて「いい加減にせーよ!!!!」と堪忍袋の緒が切れたら、試しにキレてみるという手もありますが、賢くキレることができないのであればぐっと我慢して、一番口の軽い同僚を選び「絶対に誰にも言わないでね。私、HRに申し立てを考えている」とさらっと言ってみるのもよいでしょう。
いよいよハラスメントがひどくなってきたらそのHRに苦情申し立てをするためにも、必ずメモを取ってください。【いつどこで何を言われたか】できるだけ具体的に。日付、覚えている範囲でよいので時刻、そして場所。ハラスメントが日常的であればどんどんそのメモは溜まっていきますが、筆者が記憶する限り申し立てるにしても期限があります。そのような状態が始まった日から確か3か月以内、あるいは半年以内に申し立てる必要があるはずです。詳しい期限についてはわかりかねますので、従業員ハンドブックで各自ご確認ください。
またHRで申し立てるには内部で既に手を尽くしたということが前提です。上司がカウンセリングで注意をしたにも関わらず、また三者で話し合いの席を設けたにも関わらずハラスメントが続く場合に、さらに上の段階のHRへ申し立てます。

アメリカ人上司=正義感があり自分を守ってくれるとは限らない

HRに苦情申し立てをする場合は、所定の用紙に記入してまずは直属の上司に申し立てます。そしてさらにその上の上司に申し立てますので、もしもあなたにハラスメントを行っているのが直属の上司(古参の日本人従業員やフィリピン人従業員)の場合、その人を越えて手続きを進めることになります(ここらへんはちゃんとHRで教えてくれると思います)。
そしてその上の上司がアメリカ人の場合、あなたを必ず守ってくれると思わない方がよいででしょう。あなたがもし状況を相談したいと申し出たら、ちゃんと話を聞き適切な対処をとるのが彼らの仕事ですから、まともなアメリカ人だったらすぐにそのように動き始めるでしょう。だけどもしかするとその上司は古参従業員とは互いにメリットのある、ずぶずぶの仲かもしれません。またアメリカ人上司のポジションは非常に流動的です。だいたい長くて5年くらいしか日本にいません(日本人女性と結婚していれば話は別です)。それゆえ「できる限り面倒なこととは関わりたくない」と思っている人も、残念ながら中にはいます。
親身になって話を聞いて、話し合いの席を設けてくれるきちんとしたアメリカ人上司も大勢います。だけどこればかりは当たり外れがあるんですよね。だからこそ申し立ての時は気をつけなくてはなりません。古参の従業員がいるからこそ現場が回っているのであれば、上司としては「君が大人しく我慢してくれていれば、うちのコマンドは平和なんだから、波風立てないでほしいな」と思う部分があるのも否めないからです。
HRの申し立てだけでなく、何か行動を起こす時は必ず「最終的に守られるのは誰か?」を考えて賢く動きましょう。勝てないゲームだとわかったら、我慢して留まりながら他のポジションに応募し続けるか、退職するしかありません。

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