ホワイトカラーは何かと目の敵にされます。それはベースの中も外も同じ。だけどベースの中はそれがより顕著です。なぜならチップの金額に跳ね返ってくるから。
肉体と脳と心を使って奉仕して稼ぐチップ
脳と心だけを使って奉仕して稼ぐチップ
なぜか「肉体労働をする人の方がえらい」と思われがちで、脳(知識)や心だけを使っている人間は、肉体を使っている人間よりも楽をしていると思われるようです。確かにホワイトカラーって肉体的には楽ですよ。だけどそれが誰にでもできるかっていったら違います。
「にこにこしているだけでチップもらえていいわね」
にこにこすること以外にやっていることや、陰ながら努力していることなどを決して想像してもらえないから、こういうことを言われるのです。
ぱっと見て「労働」とわかりやすいもの以外は評価されない
ベースの従業員の職務には等級があります。下の図で青い資格で囲まれているものがそれで、左側の数字が1だとホワイトカラー(事務職系)です。2だとブルーカラー(技能系)です。★あくまでもこれはベース内での分類です
接客業の中ではキャッシャーのみがホワイトカラーです。当時キャッシャーとして勤務していた私が感じていたことを書きます。
日本人女性なら「きゃはっ♪」と照れ笑いしておしまいという展開を予想する多くのアメリカ人にとって、店員とのやりとりにおける意外性は楽しいものです。来店目的はもちろん美味しい食事をできるだけ待たされずにすることなので、店員は清潔感があって最低限のことができるだけでよいのです。別に人間的に飛びぬけて面白い必要なんてありません。だけどやはり、店員とのやりとりが楽しいと気分がよくなるんですよね。
そしてお客様とは会話がはずみ、クレジットカードで支払う際に"Am I allowed to tip you?"といってサインしてくれたとしましょう。
こういうことがあるとウェイトスタッフの人達は「キャッシャーはたった一行喋って10ドルもらえていいよねー。私達はあくせく働いて1テーブルからそのくらいのチップしかもらえないことの方が多いんだよ」と言います。
彼らは私がこういう風にチップをもらえるようになるまでにこつこつと積み重ねてきた努力や、大失敗(この失敗については後日書きます)のことなど知る由もないからです。想像できないのでしょうし、私も「頑張って英語を勉強してます!」みたいな舞台裏はあまり見せたくないので、彼らに知られない程度でよいのだと思います。
(周囲から見える部分は優雅にな)
仮に彼らがそういうことを知ったとしても、結局「楽にお金をもらえていいね」って言われ続けるんですよ。あくせく働くというわかりやすいパフォーマンスをしない限り。だけど肉体労働が必要ない状況であれば私はしなかったし、逆に人手が足りなければ自分の仕事ではなくても率先して肉体労働をして時々わかりやすいパフォーマンスをしておきました。くだらないけど、そうやっておくことで私がいい思いをした時に「まあマリアさんならしようがないか」と思ってもらえるからです。心証をよくするっていうの?
アメリカ人従業員はこういうことをしないんですよね。彼らは「言いやつには言わせておけ」って感じで媚びない。"I don't give a f**k."という姿勢を貫きます。
あなたは誰のために働いているの?お客様?それとも同僚と仲良しごっこするため?
アメリカ人従業員のようにI don't give a f**k.の姿勢を貫いた方がよい理由は、ホワイトカラーの従業員が「こんなにもらっていいのかな・・・・」というところを少しでも見せると、それにつけこんでくるブルーカラーの従業員がいるからです。
ですから"I'm sorry, but I earned it."と堂々としていてよいのです。っていうかDon't be sorry. それにあなたはお客様のために働いているのであって、同僚のご機嫌取りをするために働いているわけではありません。
だけど気をつけたいのは、横須賀基地の村人ともうまくやっていこう - Inside the gateという記事にも書きましたが、個人プレーはしないこと。
お客様に喜んでもらえるようなサービスをするには、自分以外のスタッフの協力が不可欠です。ですからお客様に120%満足してもらうために何でもはい、はい、と言って他のスタッフに無理をさせておいしいところは自分が全部持っていくような真似だけはしないようにしましょう。チーププレーの中で提供できる範囲内での最高のサービスをすればよいのです。
だけどなんだかんだいって敵は少ないに限る
別に同僚に必要以上に好かれる必要はありません。信用・信頼さえされていればよいのです。私は「周囲から自分がどう思われているか気にならない人」というポジションに早いうちからおさまっていたので、あほらしいドラマに巻き込まれることは一人の従業員を除いてまったくありませんでした。
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