「このシーンにこのBGM、完璧だ!」と思うシーンに出くわすことは、TV番組でも映画でもそうありませんよね。私は、大好きなTVドラマ「デスパレートな妻たち」で一つあります。
主役の主婦の一人、Bree(ブリー)が描く裕福な家庭の理想的なディナーのあり方。
テーブルセッティング、お料理、そして会話。それらがすべて洗練されているのが、コンサバな専業主婦・ブリーの理想。ところが理想と現実は違います。
「(こんなに凝った、聞いたことのないようなスープじゃなくても)フレンチ・オニオンやネイビー・ビーンスープでもいいのに」という娘。
(手間暇かけて作った)オッソ・ブーコはどう?と聞かれ「OK」とだけ答える息子。それだけではありません。「三時間かけてディナーを作ってくれだなんて誰も頼んでないのに」と言い出して食卓を凍りつかせました。
BGMに使われているのはショパンの「ワルツ第七番」。会話の雲行きが怪しくなりだした瞬間に食卓が静まり返り、アンティークの時計の振り子が刻む単調なリズムが虚しく響きます。
そしてその直後に曲の転調を持ってくる演出。ブリーと息子・アンドリューの言い合いが激しくなるところにはピウ・モッソがぴったり。
趣味よく整えられたダイニングでサーブされる完璧なディナー。なのに楽しい会話と笑い声というご馳走が欠けているのです。完璧に美しく用意されているのに、冷たい食卓。
「一家の主として何か言っていただけるとありがたいわ」とブリーにふられた夫が言ったひとことは「塩とって」(笑)。うまく逃げましたね。
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