Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

日本人従業員同士でついやってしまうこと

横須賀基地で働く非アメリカ人従業員の中で、最も大きな勢力を誇るのはフィリピン人達です。在米軍基地なのに、日本人じゃないんですよ・・・・。日本人がフィリピン人に気を遣いながら働いている、不思議な環境です。恐るべし、彼らの繁殖力ですよ。
ですから出勤したら、所属セクションの日本人が自分だけでそれ以外はフィリピン人、なんてことはしょっちゅうでした。日本にいながらにして自分が(国籍別で)マイノリティという経験をしたい方は横須賀基地の空席に応募してみてください。
そんな環境の中で、時々日本人同士でシフトチェンジという穏やかな日もありました。

Japan

滅多にないからこそ、ありがたみがわかりましたね。ピンでは悪い人達じゃないんだけど、大勢になると最悪というフィリピン人特有の気質に疲れた者同士、互いを労うように働く日。当然雑談もはずみます。アメリカ人のお客様達のほとんどが日本語を理解しないという環境ですから、お喋りは時々はずみすぎてしまいます。
例えばハッサンさんというお客様のクレジットカードの承認がとれなかったとします。
"DECLINE"(カードの承認拒否)の表示が出たら、画面を見ていた私の日本人の同僚女性は静かにこういいました。

「ハッサンなだけに・・・・破産」

わかる、わかるぞその気持ち!
オヤジギャグとわかっていても、口に出さないと気がすまない気持ち!
こんな風に、日本語がわかる者同士でしかシェアできない笑いをこらえる苦痛が、喜びの一つでもありました。

それからオーダーしたものが出てくるまでずーっとカウンターのまん前で、カウンターをこんこんと指で叩きながら待っている客を見て、こんな会話をしてしまうのです。

同僚:こういうの目障りだよね。

私:プレッシャーかけてるつもりなんだろうけど、そこに立っていても、ものが早く出てくるわけじゃないんだけどね。
同僚:日本語わかる人だったらどうする・・・・?

私:私達、クビだね。でもさすがに目障りっていう表現はわからないと思うんだよね。

フィリピン人の同僚相手だと、どうしても彼女達に伝わるような日本語で話すため、自分で喋っていても「あれ?」と思ってしまう、不自然な日本語で話してしまうのです。

【例】「13日は日本の祝日です」といいたい場合→ 「13日、日本、おやすみ」

ですから日本人の同僚相手だと、手加減なしで話せるため、まるでおもりが取れたような気分になって話してしまうのです。また彼女達と話すことによって、英語学習のモチベーションを得ました。なぜなら私自身が日本語のノン・ネイティブスピーカーと話すことによって、夫が私と話す時に感じているストレスを理解することができたからです。


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