Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

田舎に夫を連れて帰ったらこうなった

初めて夫を田舎に連れて帰るのは冬を選びました。

夫は札幌の雪まつりに行くほど、日本の北国の冬に興味を持っていたので喜んだし、私という人間の生い立ちを最も簡単に説明する方法として真冬の帰省しかないと思ったからこの季節を選びました。
新幹線の車窓の外に雪国が見えてきた瞬間、夫の目はそのモノトーンの世界に釘付けになりました。

 

百聞は一見に如かず

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時々帰ってくる分にはいいけど、もう一度ここに暮らせと言われたらまず無理だろうと感じる土地。
"I want to show you where I grew up and you have to be there in winter because it's what made me what I am today. A dark, miserable winter."
「私が育ったところを見せたいけど、冬に行かなくちゃ意味がない。なぜならその季節があってこその私だから。暗くて惨めな冬がね」
夫にはこう説明してあったのですが、この暗い雪景色を見て、その言葉の意味がよくわかったそうです。そのくらい暗さに説得力があったのでしょう。そして夫はこういいました。
"This is the most romantic scenary I've ever seen."

確かにこのあたりは湿度が高く、雪もずっしりと重いのです。だから演歌的な暗さがある。このあたりに夫は魅了されたのでしょう。夫は中東に駐屯していたことがあり、砂漠や戦地の乾いた空気の匂いを知っていますし、出身は見上げればほぼ毎日青空という南カリフォルニア。それらとの対比もあるからこそ、余計にこの雪国のしっとりとしていて、重すぎるくらいの空気感みたいなものを気に入ったのです。

冬以外の三季も暗い・・・

日照時間の長さは人格形成に影響を及ぼすと本気で信じる理由を、この画像でおわかりいただけますか?

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冬以外でもこの暗さ。だからこそ青空の尊さがあるわけです。横須賀じゃ青空なんて見えてあたりまえみたいなものですからその価値からして違います。暗い日本海側の街で育ったから暗いと言いたいのではなく、見上げればそこには陰鬱な灰色の空が広がるような土地で育った人間としては、せめて自分の心の中に灯りをつけようという自家発電タイプになる人が多いと思うんですよ。

「妻の実家が最高」と夫が思う理由 

初めて実家に連れて帰った日の夜、夫と庭を散歩しました。庭いじりは父にとって最高のセルフセラピーです。

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冬囲いはすべて私の父がやりました。この作業に没頭できる幸せを夫は想像できるといいます。そして今まで二人で泊まったどんなホテルよりもここが好きだ、と言って毎年ここに帰ってきます。なぜ夫がこんなに私の実家が好きかわかりますか?
なぜならこの庭は普通の日本の象徴だから。強羅花壇や俵屋旅館、加賀屋のような贅を尽くした場所にはない、素朴なJapanが見られるからです。そして私の両親にしてみればただのぼろ家も夫にしてみれば見どころ満載の日本家屋です。

田植えを体験

実家ではだいたいゴールデンウィークに田植えを終えるのですが、夫も手伝いに帰ったことがあります。「いつも送ってもらっている白米がどうやって作られているのか見てみたい。つやつやで美味しいよね」と言いだしたから。
「やっぱり元軍人すげーな」と兄が驚くほどよく働いてくれました。夜の見回りもうきうきしながら行きましたよ。見回りというのは、稲を植えた水田の水位をチェックしにいくためにやります。私は行かずに夫と父と二人だけで車で回っていました。
今ではこのような便利なものもできましたが、うちの実家にはないと思います。

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両親の反応

「日本文化をよくわかっていて驚いた」というのが第一印象でした。Daytime drinkingはしない夫にも例外があって、それは:

  1. ブランチのシャンペン
  2. 正月に振舞われる甘酒

だけは嗜むというものなのですが、そういう話を聞くと喜んでいましたね。
知日・親日派とはいえ、焼きそばを作ろうという時に紅しょうを切らしていることに気がついた時のあの「あれがないと焼きそばとして成立しないの!」という感じとか、そこらへんはまだわからない夫ではありますが、私の両親や親戚にも愛される存在です。

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