Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

自然な外国語を身につけるために必要なこと

文法的には間違っていないのにニュアンスが伝わらない日本人の英語(1) - Inside the gateという記事の続きです。
伝わらなければ意味がない!会話重視の人向けなので、英検やTOEICといった試験の点数を伸ばしたい人にはまったく関係のない記事です。

ベースで働いていた頃、フィリピン人の同僚がたくさんいましたが、彼らが自然な日本語を覚える様子を見ていて、私自身も自然な英語を話せるようになるコツを教えてもらうことができました。

外国語=コミュニケーションをとるためのツール。デスクに向かっているだけでは自然な話し方=伝わる話し方は身につかない

テストの点数だけのために語学を勉強しても、その言葉で自然な話し方ができるようにはなりません。アメリカ人の友人のFBのコメント欄を見ていても、一流大学を出ている日本人ですら文法的には正しいけど通じない英語で書き込んでいます(だけどやはり基礎は大切>>関連記事:日常会話の中には、第四文型と第五文型がうようよしている - Inside the gate)。
私が一緒に働いたフィリピン人達は日本語を覚える時に教材を使いません。出稼ぎ組にとって日本は「暮らしてみたい国」ではなく「お金を稼ぐためにやってきた国」です。この国の文化には興味がないのです。そんな国の言葉をわざわざ時間を割いてまで覚えようとは思わないでしょう?それに教材を買うお金があったら、頑張って家族に送金し続ける自分をねぎらうために美味しいものでも食べに行きたいと思うはずです。
効率重視の彼女達は

  • 「今のひとこと、ちょっといいな」
  • 「使えるな」
  • 「それそれ!日本語で言うとどうなるんだろうって思っていたのは!」

というものだけがすっと入って行く脳の構造にでもなっているようです。要するに明確に自己主張するための話し方だけを覚えていくのです。
例えばコミュニケーションの潤滑油になるクッション言葉。
「ブレイク中なのにごめんね。ちょっとこれ教えて」
「お休みの日にメッセージしてごめんね」
この二つは彼女達が一度聞いてすぐに使い始めていました。その他にも彼女達が日本人同士の会話を聴きながら覚えて、よく使っていた言葉をご紹介します。

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  • まぐろ
  • うざい
  • あの人使えない
  • 頭が固い
  • 空気読めない

その他にも多数ありますが、忘れてしまいました。いずれもテキストで頻出単語・表現としては出てこなさそうですが、彼女達は自分の気持ちを伝える言葉を知りたいだけで、テストで高得点を取る必要はないのです。

実践の場があるということの最大のメリット

同じテキストブックをぼろぼろになるまで何度も繰り返し使う学習方法を否定しません。なぜなら実践の場=アウトプットの場は、そういう地道な努力やインプットを重ねてつけた力を試し、磨く場所だからです。
関連記事:地方に暮らしている女性が、横須賀のどぶ板で毎週飲んでいる女性より「伝わる英語」が話せる理由 - Inside the gate


インプットをしていてこそのアウトプットです。自然な話し方ができるようになるためには、まずは基礎を定着させるために、やや不自然な硬い文章を繰り返し学習するステップは避けられないでしょう。自然な一文の後ろ側には、その人が学習してきた何十もの硬~い文章が支えとして存在するのです。その何十もの文章をくだらないと思えるのは、ようやく自然な文章が話せるようになったその時です。
だけど実践におけるアドバンテージは、アウトプットだけではありません。それは生きている英語に触れられるということです。テキストブックに書いてある英語がすべて実用的ではないとはいいませんが、テストの点数だけが欲しい人を除いては、よりリアルな英語に触れるべきです。生身の人間はテキストブックの例文と同じようには喋ってくれませんから。



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