Inside the gate

米海軍横須賀基地でお仕事をしたいと思っている人達のためのサバイバルガイド。情報が古いということが玉に傷です。英語学習や異文化に関するエッセイも書いています。

できすぎた日本人妻を持つアメリカ人男性の苦悩

先日ベースでハンバーガーを食べていたら、すぐ隣のテーブルについたアメリカ人男性に「寒いですね」と日本語で話しかけられました。

「日本語、話せるんですか?」

そこからお話は始まりました。

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その男性はハンバーガーを単品で頼んでいました。
コンボにしなかった理由は「帰宅したら妻が作ってくれた夕食をきちんと食べなくてはいけないので」というものでした。そしてその男性の話は続きました。

100%っていうのは、自分が求められなくても、与えられるだけでもつらい

「僕の夕食は毎晩ちゃんと一汁三菜。箸置きも器も、妻の素晴らしいセンスが感じられるものばかり。下手な店で外食するよりも見事だよ」


コンボを頼んで、サイドオーダーのフレンチフライも含め見事に完食した私はこう言いました。

「あなたはラッキーですね」

「ああ、ラッキーだ。でも時々何も考えないで食べたいんだよ。僕は二つの仕事を掛け持ちしているんだ。掛け持ちしなくて済むように、もっといい仕事について家族と過ごす時間を増やすために、大学(University of Maryland)にも通っている。
だから夕食くらいは時々でいいから、簡単なものをかきこんでおしまいにしたいんだ。
こういうハンバーガーとか、Mac&cheeseなんていいね。だけど夕食にしろなんにしろ、家事・炊事をきちんとやることが大好きな妻に『今日の夕食はMac&cheeseがいいな』って言いにくいんだ。

それじゃまるで彼女が準備してくれる完璧な夕食じゃ満足していないみたいだろう。だけど完璧だから、時々持て余してしまう」

彼がこぼしたのはこれだけでしたが(今思えばよく喋る人だな・・・)、行間を読んでみると、多分奥様の作ってくれた料理一つ一つにコメントするのも大変なんじゃないかなぁ。
優しそうな方だったから、一汁三菜、奥様が力を入れたところ=褒めてほしいところをしっかりと見極めて、一つ一つに関する感想と感謝の気持ちを伝えていそう。
「この器は料理の色を引き立てるね」なんていいながら(苦笑)。
こういうことから解放される日が週に一度はあってもよいのではないでしょうか・・・。そしてこれは、日本人妻だから、夫がアメリカ人だとか関係ないですよね。

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白人至上主義の白人が多そうなイメージがある州はどこですか?

横須賀基地では、周囲にいるアメリカ人達の多くが日本語を理解できないのをいいことに、言いたい放題ということをちょくちょくやってしまいます。

先日はこんな話題になりました。

「今の白人夫婦、おそらく白人以外はまともな人種だと思ってないよね・・・」

Ku Klux Klan

(Ku Klux Klan アメリカの白人至上主義の人間達による秘密結社)


別に私に対して感じが悪かったとかそういうことじゃないんだけど、極端な白人至上主義を感じさせる人達っているんですよ。どの社会階級に属しているとか、関係ないのです。
一見フレンドリーなんだけど、腹の中では白人以外の人種を見下していそうなニューイングランド地方の富裕層や、白人以外への人種への差別をあからさまにすることをなんとも思わない、教養のない南部の白人。

話を戻します。
私がそういうと、一緒にいた友人はなんといったと思いますか?

「ああ、わかる。サウスキャロライナから来ましたって感じだよね」


来たな!サウスキャロライナ!!!!

私が思いついたのは、ミシシッピでした。A Time To Kill (「評決のとき」)の影響かな。行ったこともないのにすみません。ちなみにミシシッピは以下のサイトで「最も人種差別的な州」の第一位に輝いています。

www.thetoptens.com

やっぱりアメリカ南部に集中していますね。

正気とは思えない バージニアに所在する極右団体 The National Policy Institute

この団体の代表であるRichard Spencerのスピーチがすごいです。
「白人のためにデザインされた国」「白人が築き上げ、受け継いできた国」

そして極めつけは"Hail Trump!" hailはナチスの隊員がヒトラーに敬礼する時に使っていた表現です。
この団体の会合では、このHail Trump!に対し、ナチス式の敬礼で応えているメンバーもいます。もちろん出席者は動画で見る限り白人ばかり・・・。
この動画はアルジャジーラ・イングリッシュがフェイスブックに投降したものですが、「みっともない。彼(Spencer)この国の血塗られた歴史を知らないのかしら」と、入植者達(=白人)が原住民を迫害・殺害して今のアメリカを作り上げた歴史をきちんと直視しているアメリカ人(と思われる)からのコメントもありました。
こうやってみると、白人至上主義の白人が多いのは、アメリカ南東部が多そうですね。

A Time To Kill (「評決のとき」)

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万国共通 騎士のふりをして、あわよくば・・・

肉体関係を持つにあたって:

女が必要なのは理由

男が必要なのは場所だけ

 

親身になっているふりをして近づいて、弱り目を狙って攻め込んでさせてもらおうというのは、どこの国の男達も考え付くことなのです。

Comfort

横須賀基地とその周辺で、以下のような光景が見られることは決して珍しいことではありません。
メイクが涙に溶けて頬まで流れ落ちている女の子に、2,3人の若い男の子達が寄り添っています。彼らはうん、うん、と話を聞いてあげています。しゃくりあげて説明をする女の子(別に特に可愛いわけではない)。
そこに女の子の涙の理由であろう夫(あるいはボーイフレンド)が登場すると、男の子達の一人が立ち上がって彼女を守るかのように"F**k off."みたいなことを言うのです。そういっている間、他の兵士達は女の子の肩をさすったりして、なぐさめています。
夫(あるいはボーイフレンド)を除き、みんな騎士のふりをしていますが、カイルに言わせると「あいつらいいやつぶってるけど、頭の中は三人とも同じことでいっぱいだよ。『あともうちょっとでやらせてもらえる』これに尽きるよ」だそうです。男の考えることは、万国共通ですね・・・。
「僕だけは君の体だけじゃなく、心も抱いてあげるよ」というふりをして、終わったら放屁しながら一服でもして、兵舎の自分の部屋にあっさりと帰っていくことでしょう。


カイル登場記事:米軍関係者の子供同士のトラブルが意外とすごい - Inside the gate


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第45代アメリカ大統領選当日の横須賀基地と、私の周囲の様子


最初に断っておきますが、基地の様子の画像はありません。

第45代アメリカ大統領選、ドナルド・トランプ氏が当選しました。おめでとうございます。どうせ本人に読まれるわけもないけど書いてみました。

昨日ドナルド・トランプ氏の当選が確定した少し後にメインゲートを通ろうとしたら、MA(セキュリティ)の人達が大きなヘルメットをかぶり、いつもは着用していないグリーンカモフラージュのベストをつけていました。
夫に理由をたずねてみたら「選挙結果に不満を持つ日本人に襲撃される危険に備えてのことではないか」とのことでした。やっぱりそうなのね・・・。オバマ氏の時もこうだったっけ。

Trump Tower

私の周囲はクリントン派とトランプ派と同じくらいの比率でしたが、アメリカ人のご近所さんにお会いした時に、珍しく「こんにちは!」と日本語で挨拶されたので、ちょっと驚いて「こんにちは」と返すと、今度は英語でこういわれました。
「日本の市民権が欲しいから、日本語を頑張ろうと思います」
大統領選挙当日にしか耳にしないであろう貴重なジョークを聞くことができました・・・。

在外投票

これは私の周囲では期日までにきちんと申請して投票した人はほとんどいませんでした。うちの夫も投票しませんでした・・・。皆さん理由は同じ。

"It's electoral vote that counts, not popular votes."

で、結果はこれですからね。後悔先に立たず。

www.diffen.com

関連記事:率直すぎる司会者バーバラ・ウォルターズの直球にひるまないドナルド・トランプ - Inside the gate

鳩だけじゃない。爆睡している乗客も平和の象徴



来日した外国人が必ず驚く光景。

男の人が股を広げているのはいいのですが、同じように膝を開いて爆睡している女性客を見ると大丈夫かなぁと心配になります。そこまで弛緩してしまうほど疲れきっているのでしょうか。そんな女性客を写真におさめたいと思う外国人がいたとしても、盗撮と勘違いされるのが嫌だから撮影できないでしょうね。

http://www.flickr.com/photos/95111171@N00/73726954

photo by hiromy

なんだか薄気味悪い事件が増えている日本ですが、外国人から見るとまだまだ平和で安全だそうです。

子供達だけで公共の交通機関を使って遠出できる

アメリカ人の知人は「日本では娘と友達を彼女達だけで出かけさせてあげられるのが嬉しい」と喜んでいました。娘さん達は電車に乗って気軽にどこにでも行くとのこと。
彼女が住んでいた地域(アメリカ南部)では、昼間でも必ず送迎していたそうです。例えば「映画を見に行ってくる」なんていう時でもそう。そしてどこにいるのか必ず報告させていたといいます。ちなみに彼女の娘は中学生。

どぶ板を若い女性が夜中に一人で歩いても大丈夫

どぶ板のような、バーが軒を連ねるエリアを若い女の子が夜中にふらついていても、襲われない・・・。これは本当にアメリカ人達は驚きます。しかも女性が泥酔して歩いていても、無事にベースのハウジングに戻ってこれるって、日本だからだろう可能だというのです。なぜならアメリカ本国ですと、ベース周辺は治安が悪くて有名だから

私が聞いたエリアですと、フロリダ州のJacksonvilleや、ワシントン州のBremertonなんかがよい例だそうです。

Morning Ferry

そのエリアに暮らしていたアメリカ人の友人達の中には、護身用に銃を所有していた人も多かったです。

セブンイレブンの違いでわかる、治安の良し悪し

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これもよく聞く話ですね。夫がいうにはこういうことです。

「日本だとセブンイレブンっていったら、便利でいい場所だろう。これといってすぐに必要なものがなくても、つい立ち寄ってしまう。だけどアメリカのセブンイレブンは、必要なものだけ買ったらすぐに立ち去りたくなる場所だ」

理由は皆さん想像できますね。強盗に巻き込まれたくないから・・・。

外部関連ページ:Top 10 Safest Countries In The World To Visit Or Settle Down | LifeStyle9


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米軍に救済される若者達の姿

ニコラス・スパークス著・Dear Johnという小説にこんな一節があります。

Growing up, I'd never considered entering the military.
Despite the fact that eastern North Carolina is one of the most military dense areas of the country - there are seven bases within a few hours' driving from Wilmington.

全米でも最も軍事基地が密集しているエリアの一つであるノース・キャロライナ東部。夢も希望もなくて、貧しい生活に嫌気がさしてとりあえず米軍に入った若者がうようよしていたり、住民の多くが、何かしらの形で米軍に関わっている仕事についている地域を想像してみてください。
女の子達が軍の福利厚生目当てで米兵に近づくような人間に育っても無理はありませんし、そのエリアではあたりまえのことが、外部からやってきた民間人には少し異様に見えるでしょう。

入隊すれば食べるものと住む場所には困らない

小説の主人公であるJohnは、多くの下士官のように高校を卒業してすぐに志願してブートキャンプに参加したのではなく、高卒で仕事を転々とし(どれも解雇という形で終わる)、自分と同じように最低賃金ぎりぎりのような仕事をして、毎晩のように場末のバーで酔っ払っている男達を見て、そこを抜け出す手段として選んだのが米軍への入隊でした。

お金がなくて選択肢が限られていた若者が、より多くの選択肢を軍で見つけることができる

Johnが生まれてすぐ、母親は彼と夫を捨てて出ていきました。それ以来あまり愛情表現がうまくない父親に男手一つで育てられたJohnの育った環境は、典型的な貧困層といえたでしょう。
だけどお金がないという惨めさは米軍志願の直接的な理由にはなりませんでした。それよりも、そういった環境で育った者同士で、このまま年をとっていくことへの恐れがJohnに入隊を決意させたのです。
勤勉なJohnはその働きぶりが認められ、上司にOCS(Officer Candidate School)へ入ることをすすめられるほどになります。どんな仕事をしても長続きしなかった彼が、こうして経験を積んで貯蓄も始め、より多くの選択肢を手に入れて、場末のバーで飲んだくれていた日々が過去のものになっていくのです。

税金を活かすも殺すも、結局は本人次第

親が与えてやれなかった選択肢を、こういう風に国が与えてやってもよいじゃないですか。貧困に対して、子供に責任はないのですから。
こうして税金で支えられる生活の中で、若者達がJohnのように自分の人生を作り上げていくかというと、そうではありません。あらゆるチャンスを酒で棒に振る兵士もいますし、他にやれることがないから、しようがなく軍にいる兵士達だって、もはや好きなだけ軍に留まれるわけではありません。
ちなみに横須賀を歩いている若い米兵を見て「教養がなさそうだよね」とか「DQNだよね」と感じたことがあるあなた。信じがたいかもしれませんが、海外に出される米兵は、まだまともな方なんですよ!>>なぜ米兵による事件は沖縄に集中すると思うか、横須賀基地所属の米兵達に聞いてみた - Inside the gate

 

Dear John (American Collection at Fwc) (英語) マスマーケット – 2009/12/1

◆日本語版「親愛なる君へ

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横須賀基地の村人ともうまくやっていこう


横須賀基地で働いていると、「この人はベースの外の世界を知らないんだろうな」という日本人達に出会います。特徴としては:

  • 髪型・服装・メイクがどことなく古臭い(80年年代後半~90年代初頭を引きずっている)
  • 仕事がたいしてできなくても古いというだけで大威張りなうえ、横須賀基地で働いている=ペンタゴンで働いてんのよ!と勘違いしていそう


横須賀基地というのは、一つの村のようなものです。アメリカ人が多くてオープンな雰囲気かと思いきや、ゴシップが広まる速度と範囲の広さやら、米軍基地の中ですら日本人特有の窮屈な社会を保持する面倒くさい人達もまだまだ大勢いて、閉塞的な側面もあります。そこの垢にまみれて村民みたいになっている人は、きつい人が多いと感じました。ベースの外で働いたことがない日本人でも、この全く逆で、ちゃんと社会性のある人もいます。私はそういう人達がいる施設で働けてラッキーでした。
日本社会は面倒くさいなぁと思い、横須賀基地に逃げ込むようにやってきた私もこの村民達の洗礼は受けました。村民のほとんどは女性でした。男性従業員は、ベース勤務歴が長くても、安定の上にあぐらをかいて村民化したりはしていませんでした(ただし一部を除く)。
そして村民達に慣れた頃、垢にまみれていない、外部からやってきた人と仕事をすると新鮮に感じられたものです。

村人達の居心地の良さが反映された、デスクとロッカー周りのだらしなさ

私が勤めていた施設は「ここで暮らしているんですか?」「本当にここは女子ロッカー室?」と言いたくなるような人が多かったです。これは日本人だけでなくフィリピン人にも多かったけど、とにかく皆さん勤続年数が長く、その分私物が多い
勤続年数が長い人達は、長く勤め続けるだけの理由があるはずです。居心地がいいし、給与は安いけれど安定しているから、そこにとどまる。このデスク周りやロッカーのだらしなさが、居心地の良さを感じさせていました。ただしこれはベースの中だろうが外だろうがありがちなことですけどね・・・。


 

本人達なりに整理整頓しているつもりなんだろうけど、やはり仕事をしに来る場所とは思えない様になっていました。公私の区別がきちんとついていないというのでしょうか・・・。
ベースの外の日系企業に勤める綺麗なOLさん達の、無駄なものが置かれていないすっきりと整頓されたデスクやロッカーが懐かしくなりましたが、彼女達は彼女達でまた色々ありましたからね。それと比べると「村でいいか」という結論に至るのです。

 

新参者の心得

こういう人達とうまくやるには、個人プレーをしないこと。あなたがベースの外でどんなにハイプロファイルな企業で、さくさく仕事ができていたスーパー(ウー)マンでも、英語ぺらぺらでも、周囲との調和やバランスを考えながら働いてください。出る杭は打たれます。
それから普段はあなたに対してえらそうに振舞っているくせに、困った時だけあなたの英語力を便利に使おうとする人には気を付けてください。
私は手を差し伸べて貸しを作っておきたい時以外はこう言って逃げていましたよ。

「すみませんが、私が間に入って訳して何か間違えがあってトラブルになっても責任は負えませんので、〇〇さんがご自分でなさったほうがよいと思います」

こういって話を強制終了して立ち去る!臨機応変に対応しましょう。早い段階で「なめんなよ」という態度をマイルドに見せておくことはとても大切です。

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